第27話 宿

がばっ。


体内アラームが鳴ったようで、少年はすぐさま起き、


ベッドから降りる。


時計は18時を指していた。


「それにしても、やはりこの体内時計はとてもいい。」


そんなことを呟きながら、少年は時計を確認し、手早く髪と身なりを整える。


部屋の扉を開け、階段を降り、食堂につくと、


おばさんが夜ご飯を持ってきてくれる。


食事のメニューはみんなほとんど、同じようなものだった。


少年の前にはもちろん、お酒は置かれていないことを除けばだが、


少年は毒と同じように酒にも慣れているため、


飲めるには飲めるが、さすがにこんな子供の姿で飲んでいたら怪しまれると


思っていた少年はひそかにほっとしていた。


一応は、王子として育ったため、おいしいとは言えないが、


まだ全然食べられるおいしさの夜ご飯をモグモグと嚙みながら、周りを見る。



来るときも、ここについてからも少年は感じたが、


帝国は噂を上回るほど治安がいいらしい。


帝国は貴族も少数で、どこかの国と違って腐敗していないため、


治安はいいほうだろうと予測していたし、噂にも聞いていた。


しかし、実際に来てみないと、ここまで詳しく分からないだろうなと感じながら、


王国と比べて分析する。


まず、通りをこの小さな体1つで歩いていると悪い大人に絡まれるのは


王国では見かけないわけではない。


通りにもよるが、結構日常茶飯事のようなところもある。


しかし、この通りが大きいこともあるが、


そんな光景もあまり見かけることがなかった。


また、この宿は確かにこの通りの中ではこれくらいの費用で泊まれる


一番良さそうな宿にした。


しかし、この費用くらいの王国の宿であると


良くて話を聞くふりをして追い返され、


普通であれば、門前払いされ、


悪ければ、宿を借りることを頼む前に、ガラの悪い大人に


笑われ、冷やかされてイチャモンをつけられ、


最悪、宿に入る前に誘拐され、奴隷落ちだった。


そのため、たとえ、不自然な目を向けられていても何事も問題なく、


進んでいくことに物事が進むことで少しばかり戸惑いを抱いた。


その時はポーカーフェイスでやり過ごしたため、気づかれてはいないはずだが。



「ごちそうさまでした。」


食事が終わり、食器をおばちゃんがいるカウンターに戻し、部屋に戻る。




そして、竜の少女の様子を見るべく、再び探す。


どうやら、もうすでに


翼をはためかせて飛んでいた。


探す途中に、一部ぼろぼろの城壁を見たため、少年は予想する。


竜の少女のことだから、に慣れてきたため、調子に乗って、


気が付いたら激突直前でそのまま、激突。という感じだろう、と。


まだ、王都の食料庫からは少し、距離があるようで、


一応中も確認してみたが、他の村よりも少し大きいということ以外は


いたって普通の村だった。




確認作業が終わり、再び睡眠をとるため、ベッドに潜る。


そして、薄れゆく意識の中、


明日は6時くらいの出発になるかなと予測して。


何事もなければ、という釈明付きで。








そして、翌日の0時にその予測はある意味的中する。


そう、その予測はその何事かが起これば、その予測は頓挫するということである。


翌日の0時に竜の少女に持たせていた


サーチペンダントの魔力とのつながりが途絶えた。

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