第17話 激突(4)

ローブを被った化け物はためらいなく、竜の少女に攻撃を仕掛けた。



ブシュ。



ローブを被った化け物の腕には、小さな竜の少女の頭があった。


そう、ローブを被った化け物は竜の少女の頭に手を激突させ、貫いたのだ。


「うーん。」


「思ってたよりかは、全然だったなぁ。」


「せっかくだし、この頭の記憶も覗いてみるか。」


竜の少女の肉体が暴れだす。


頭の記憶を読み取るには、想像を絶する痛みが伴うからだ。


そのため、基本的にはほとんどのものが、記憶を読み取る前に、


精神と肉体の両方が崩壊し、灰とかするのだが…。


「おっ。意外と頑丈だな。」


ローブを被った化け物の嬉しそうな声から分かるように


この竜の少女はこの技に唯一耐えられた、


とてもめずらしいものであることをしめしていた。




そして、いざ竜の少女の記憶を読み取ろうと最初に記憶を覗いた瞬間、


ローブを被った化け物は、叫ぶ。


「おい!


 こいつを今すぐ、回復させろ!!」


あっけにとられる部下たちを見て、ローブを被った化け物はもう一度怒鳴る。


「おい、聞いているのか!


 早くしろ!」


ローブを被った化け物はローブのフードを脱ぎ、


そのローブのフードで隠れた顔を見せる。


そこには、凍り付くような笑みがあった。


そして、ローブを被った化け物はつぶやく。


「うわぁ、楽しみだなー。」


ローブを被った化け物はごきげんで部下たちに指示を出す。


そのうち、ローブを被った化け物の最側近であるだろう小さな少女は


その竜の少女の隣にあるものを「ぐちゃ」と壊し、


抱きかかえている竜の少女の手から離そうとする。


しかし、その手がなかなか離れず、あまり乱暴に扱ってもいけないため、


どうしたものかと頭を悩ませていた。


そこで、主人が彼女の手を切断したため、小さな少女は礼を言い、


与えられた命令に取り組み続ける。


まるで、それは感情のないロボットのようだった。




それから、もとどおりになった竜の少女を見て、満足そうに力強くうなづくと、


さっきとは打って変わって、丁寧に竜の少女の頭の中をいじくり、仕上げにかかる。


いつもの様子は見る影もない主人を見て、混乱しまくりの部下たちだが、


仕事はできるやつらだ。


淡々と与えられていた命令を忠実に、正確にこなしていた。


しかし、この時の部下たちの心情としては、


どんどん上昇していくジェットコースターに乗っている気分で


いつ、急降下していくのか、とてもひやひやしていたのだった。






そして、最後の仕上げが終わり、彼らは嵐のように過ぎ去っていった。









「あれ、私…」


そう言って、竜の少女は周りを見渡す。

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