第15話 激突(2)

そんなこんなで、道中いろいろあって、いや、いろいろありすぎたのだが、


やっと食料庫がある大きい村が視野に収まり、


もう少しで着きそうなところまで来た。


そこで、竜の少女の翼は止まる。


ここからでも感じる。


鼻を突く、独特の鉄の匂い、


聞こえてくる騒音を


そして5㎞先に見える村から出て来たと思われる


血泥にまみれたエルフの子の必死に向かってくる姿。



竜の少女の目が大きく見開かれる。


竜の少女はありったけの力を込めて、翼をはためかせた。


もちろん、その自分が前に見え、安心した反動で力尽きたエルフの子も


自分の小さな背に乗せて。



竜の少女はが入った途端、今まで聞こえていた騒音が消えた。


竜の少女は、村に入り、激しい胸焼けに襲われる。


竜の少女はさっとエルフの子を振り返る。


「…っ!」


「…ほっ。」


竜の少女はエルフの子の笑顔と閉じた目を見てほっとする。


竜の少女は不信に思う。


村はそこら中から、血の匂いがし、おびただしい量の血が見えるのに、


死体がない。


それに、今さっきまで聞こえていた騒音は何だったのだろうか。


竜の少女は今までを思い返す。


自分の見落としがないように。


私が、見間違えた?


もしくは聞き間違えた?


しかし、私がすべてを間違える確率は


私が師匠に勝負で勝つ確率と同じくらい低すぎる。


…師匠。


……。


「…まさか⁉」



竜の少女が前を向き、ひたすら走った。









そこには、生々しいまっピンクの山積みにされた住民たちの死体と臓器が、


その上に堂々と座るローブを被った化け物の姿があった。

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