第8話 暗躍

少年はいつもは眼帯で隠れている左目の眼帯を外し、左目に手を添える。


その左目は、7色が混じりあったような不思議な色をしていた。




ある人はその瞳を不気味だと言った。


ある人はその瞳を恐ろしいと言った。


ある人はその瞳を呪われていると言った。



ある人はその瞳を怖がった。


ある人はその瞳を気持ち悪がった。


ある人はその瞳をつぶそうとした。


ある人はその瞳の持ち主を…。




その瞳は、そんなだれもを不幸にする。






そのはずだった。


だが、1人だけはその瞳をきれいだと言った。


この国の虹は不吉だという常識から外れて。


彼は、彼だけはこんな瞳をほめてくれた。



だから…






虹の瞳イビルアイ、リバレイト」


そう少年が叫んだ瞬間、少年の左目には虹色の不思議な光が宿った。



「さて、掃除を始めようか。」


そう言って少年はニコッと笑った。



虹の瞳イビルアイは、鑑定や透視と言ったことができる。


もちろん、条件もあるが、強力な力であることに間違いはない。



少年は、虹の瞳イビルアイを使いながら、この建物中を見ながらつぶやく。


「それにしてもしくじったな。」


「予想はしていたが、少し情報元にしてはあいつらの地位は少し低い。

 

 おそらく、あの程度の地位であれば、


 軍の極秘情報は絶対に知らないだろうな。」


「あーあ、何人消すことになるかな。」


「最初から情報元が入れば、被害は最小限に抑えられただろうに。」


「面倒だな。」


「しかし、ここは帝国の城からそんなに遠くなく、しかも兵がうじゃうじゃいるが、


 おおらく軍の本拠地。他の部屋にいったら、情報収集も結構はかどるだろう。


 また、他の拠点は少し遠いため、つぶしにくいが、


 見方を変えれば、同時に2つをつぶしたりする必要がなくなる。


 だから、まあ最初のスタートとしては上出来だろう。」



この広い軍の本拠地の大体を約1分で把握した少年は、


今度は作戦実行のためにこの周りの部屋の状態をもう一度確認する。


「僕が今いる部屋は、地下の2階の通路前で入口から最も近いところにある。


 そして、僕の他には比較的ましな犯罪者が押し込められている。


 おそらく、貴族か、皇族あたりだろう。」



「そして、通路には入口と一番奥に1人ずつ、兵がいて、


 通路が一本でまっすぐだから、1人をやった後にいかに素早く行けるかが、


 重要だな。


 いつもなら、見張りの交代の時間を突くんだけれど、そんな時間もないからな。」


少年は、手早く情報を集めて行き、大方組んでいた予定と変わらず、


この部屋を後にした。


「ガチャッ」


「うん?」


通路に立っていた兵はすぐさま武器を構え、


仲間に伝えようと大きな声を出そうとする。


へ?


その兵の目には上下が逆さまに映っていた。


そして、目の前には上下逆さまのボールくらいの大きさのものが見えた。


それは、つい先ほどまで一緒にいた初めてできたかわいい後輩の首がだった。


「はい、終わり。」


「あっけなかったけれど、

 

 確かに、腐りきった王国の兵士たちよりもよっぽど兵士っぽかったよ。」



そう言って、不気味な光を放つ目をした少年は颯爽と消えていった。

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