第9話


 「行ってくるよー」


 いつもの物を全て持ち、両親へと声をかけ返事が返って来たのを聞いて外へと出る。


 (さて、実家にいるのは今日がラストだから少し長めでも良いかな)


 どのルートで散歩をしようか悩み、せっかくならと長い散歩コースを考えた。


 (商店街通りまで行って回って…は時間を見て決めるとして取り敢えずそこまでは行こう)


 廃れてしまった商店街通り、まだ幾つか店が残ってはいるものの過去に比べたら大分廃れたと両親から聞いた事がある。


 家を出て左へと曲がり少し真っ直ぐ進む。一つ目の信号を右へと曲がり進んでいくと踏切が有る。今は24時前と言う事もあり電車が来る事は無いがそれでも確認をして渡って行く。


 昼に雨が降っていたからか湿気が多いように感じる。


 道なりに進んで行くと比較的交通量が多い大きな道路へと出た。信号を幾つか渡り目的の商店街通りへと入った。


 左右に有るテナントは開きが所々有り、残っているのは服屋や居酒屋などのみ。昔は八百屋だったのだろうテナントの前を通りながら薄暗い商店街通りを歩いて行く。


 (また少し店が減ってる?後継者なんていないだろうからそうなるのも仕方無いか)


 歩いていると飼われている猫なのか、野良猫なのかは分からないが所々に寝転がっていたり走り回っていたりと自由気ままに過ごしている猫が何匹もいる。更に何処から登ったのか商店街通りを覆っている屋根の上にも猫の影が見える。


 猫の鳴き声を耳に入れながら歩いていると商店街通りの出口へと辿り着いた。


 (うーん、もう40分くらい経ってる。…せっかくだから別の道を通って帰ろう)

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