第8話


 (あー、近くにある本屋にも行きたいな。明日かな)


 いつもの散歩では主に風景や音を楽しみながら散歩をしているが実家に帰って久しぶりに歩く散歩と言う事もあり思い出や記憶を呼び起こしながら進んでいる。


 住宅街のため虫の声などは聞こえず、車の音ばかりだがそれすらも懐かしいと思い歩を進め続ける。


 (あ、猫だ)


 ライトに目が反射して爛々と光っているのが見える。臆病だったのか、警戒心が強かったのか近付くにつれて距離を取り始め次第には何処かへと去って行ってしまった。


 (柄も色も分からなかったな)


 猫を見失って数秒後には線路から石を踏み荒らしているザッザッと言う音が聞こえて来たので多分だが線路方面へと猫は逃げて行ったのだろう。


 そのまま進んでいると前方から車が向かって来たので脚を止めて眩しいので目を手で覆い車が通り過ぎるのを待ってからまた進み始めた。


 (そう言えば途中に〇〇君の家が有るな)


 友人の家族が近くに引っ越して来た際に一度だけ遊びに行った事があったがルート的には今日その前を通るはずだ。


 (あった、まぁ友人は居ないよね)


 仕事の関係で別の県へと移動した友人がいるわけもなく、家を一瞥するとそのまま進み途中左に曲がって線路を通りそのまま家へと帰った。

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