えびすだいこく?
今回も一応怖い話になると思いますので、怖い方はここまでにしてくださいね。私としては、特に怖い思いをしたわけではないんですが、もしかしたら怖いかも知れません。
「ドアの向こうに」でかなり怖い思いをし、その後のいたずらで完全にパニック状態になってしまったわけですが、その後は担任と副担任が飲み会(すでに宴会とも言わなくなってる)から帰ってきて、「もう寝なさい」と言われて消灯時間となりました。
電気を消して寝るのは怖くないことはなかったんですが、何しろお昼に山登りをして、その後はあんな出来事があって疲れ果ててます。おそらく消灯と言われてすぐに寝てしまった気がします。あんなことがあった後に、今思えば自分でも結構図太いなと思うんですが、もしも気になって寝られてなかったら夜の闇の中でずっと震えてたかもと思うので、自分の大雑把さに感謝するしかないですね。
そんな風にぐっすりと眠ったんですが、深夜の時間も分かりませんが、とにかくまだ真っ暗な時間に一度目が覚めました。その時には怖いことがあったことすら忘れてて、まだ暗いなと思い、もう一度寝られると時間があることがうれしかったです。
その時、部屋の窓の上、壁になった部分になんだか丸い物が2つ並んでいるのに気がつきました。
(ああ、えべっさんと大黒さんか)
よくありますよね、恵比寿様と大黒様の顔を2つ並べた飾り物。額やら薄いざるやらに並べたようなのが。そういやそこの民宿でも見たなと思って、その時はそのまま寝てしまいました。
翌朝、食事は部屋ではなく集合して大きな部屋でするのでそこへ移動すると、やはり記憶の通り、その部屋の壁の上の方に大きな恵比寿大黒が、ざるに入った飾り物がありました。
(昨夜見たんはあれやったんやな)
そう思いながら食事を済ませ、その日は最終日のイベントの餅つきを玄関の広間でやって、お餅を食べて全部の予定は終了しました。後は帰るだけです。
部屋へ戻って荷物をまとめて帰る準備をしていた時、ふと気がついた。
(あれ、この部屋ってえびっさんと大黒さんなかったっけ?)
そうか、あったのは食事をする大きい部屋だったのか。なんとなくそう考えながら部屋を出て、そのまま帰宅の途につきました。大の苦手の登山メインだったけど、結構楽しい二泊三日だったなあ。
帰ってから怖いことがあった話をしたかどうか覚えていません。そんな話をしても気のせいとか言われるだろうし、とにかく妹がめちゃくちゃそういう話が苦手なもので、もしかしたら家族にはしなかったかも。
それから、何回か友人知人にそういう話をしても、
「なんだか分からないものをドアにはさむってさすが」
と、笑われることが多くて、怖い話としてしたのに、ラストはなぜか笑われて終わりなのがどうにも腑に落ちないという感じになってました。
そして、その時に、ふと思い出して、例の「恵比寿・大黒」の話をしたら、
「ちょっと、それ何!」
と、その話を聞いた相手にこう言われたんです。
「何もなかった壁に顔が2つ見えたって、それめっちゃ怖いやん!」
え、そうなの?
あらためて考えてみたら、確かにそうだったかも知れない。言われてちょっと怖くなりました。
もしも、あの部屋の壁に何もなかったとしたら、あの夜中に浮かんでた顔2つは一体何?
もっとも、寝ぼけてたし、食事の部屋で見た「恵比寿・大黒」が記憶にあったので、私の勘違いかも知れません。
どちらにしても心底怖かった話より、もしかしたらこの小話のような話の方が怖いことだったかも知れないということが、なんとなく自分らしくてちょっと怖くて怖いようななんともおまぬけな話だなと思っています。
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