第46話 カオス空間


「はい、じゃあ仕切り直して...。どうしましょっか...!」


「あぁ、はいはい。俺がやりますよ。」


「あら、そう?じゃあ頼水君よろしく。」


結局、バッグを置いていた為、カオスすぎる部室へと戻ってきてしまった俺...。

もうこの際、主導権を握らせてもらおう。


「じゃあ、俺から提案なんだが...。1つ目、出し物はせず、文化祭でのゴミ拾いをする。2つ目、何もしない。3つ目、とりあえず部活動をちゃんとしてますよー、風に部室で客を待つ。文化祭の時は何かと依頼が多そうだからな!」


「...。え?いやちょっと待ってよ。出し物は?え?しないの?ただ部室でお地蔵さんみたいに固まって待っとくていうの?」


「あぁ、その通りだ!!」


「えー、頼水君!出し物しよーよ!杏里もしたそうだし!」


「いや、俺はしたくないので。」


「ヨリミズー!ツマンネーオトコ!」


「お前はどっちの味方なんだよ?!」


「オトメノミカタサ?」


「...死ね。」


「はぁ?!死ねとはなんだ、死ねとは!本当に死んだらお前責任取れんの?取れんの?」


「...。」


一体どうなってんだ、この部活は...。

都治巳杏里だけでも大分頭がイッてたのに、この2つのカオス分子を入れた事で、反発反応...いやこれは混沌...カオスブレイクとでもいうつもりか?!


「はぁ...もう、しょうがないわね。じゃあ3つ目でいきましょ!」


「え?良いの?」


マジか、コイツ!

いきなり化け物側がこっち側に付きやがった。

それも超ド級の化け物が!


いける。

このまんま、押し切れるはずだ!


「えぇ。でもちょっと工夫は加えないとね?」


「へ?」


「メイドinお助け部で行きましょ?」


「...?うん。あのそれ、メイド喫茶よりも恥ずくね?え?恥ずいよね?皆?」


「えー、楽しそう!良いんじゃない?!」


「イイトオモウゾ!」


「え?」


「じゃあ、それで決定ね?!」


コイツら、マジで頭おかしいんじゃねーの?!

え?

本当にそれが面白いって思ってるの?

ねぇ??


ただの羞恥プレイだよ?それ。

だって、誰も客来ないのに、メイド服でお地蔵さんみたいに固まっとくんだよ?


てか、誰に向けて笑うんだよ!

壁か?空か?それとも地面か?


「じゃ、これで決まりね!」


「え?マジで?」


「マジって何よ、マジよりのマジなんだけど。」


「何その言葉?ギャル語?メソポタミア語?」


「え?何か今日の頼水君、頭おかしいわよ?」


「...。」


お前らのせいだよ?!


「いやー、ちょっと考え事が多くてな?俺、部長だから?」


「ふーん、そう?」


そうだ、俺はこの部活の部長なんだ。

ならば、俺に最終的に決める権利があるはずだ。

都治巳杏里の今持っている、出し物申請書。

それを、最終的に俺が書き換えてしまえば良いのだ!


勝った。

俺の勝ちだ!!


「じゃ、この紙、私が先生に出しとくから。」


「え、いや、俺が...。」


「いや、大丈夫よ。部長さんは忙しいんだから、こういうのは下の者がすべき事じゃない?」


「...ん?だから、俺が...。」


「大丈夫だってば!じゃ、今日はこれで解散!」


「はーい!またねー!皆!」


「オゥ!」


「...。」


...俺って、バカなのかな?

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