第43話 佐伯って...
「おい、澪さんよ。」
「んー、何?」
「俺のプリン...食った?」
学校帰り、俺は一目散に1階の冷蔵庫へと向かった。
それは、何故か。
そう...駅前のケーキ屋で、期間限定で売っていた売れ残り3つ前でようやく買えたプリンを食べるために。
「あー、それみず兄のだったの?ごめーん。食べちゃった。テヘッ。」
「テヘッじゃねーよ!俺はこのプリンを食べるためにあの空気を耐え凌いできたというのに!」
「あの空気?何かあったのー?」
「いや...何か内の部に厄介な奴らが2人も入ってきてな。」
「厄介なやつ?」
「佐伯と、その彼女。」
「へー!佐伯君って彼女居たんだ?」
「あぁ。まぁな。」
「さっちゃん先輩が知ったら驚くだろなー!言ってもいい?」
ん?何で澪のやつ佐伯の事を佐伯に?
いや、どっちも佐伯でよく分からんな?!
「何で、佐伯幸の方に、佐伯の事をいう必要があるんだ?」
「えっ??何、みず兄...さっちゃん先輩と佐伯君兄弟...?あれ、何て言うんだっけ、兄妹...?何だけど...。知らなかった?」
「え?うん?え?知らなかったんだけど!」
「えっ?ウチ知ってると思って言わなかったんだけど...」
「え?!」
今世紀初めての驚愕...というか、何で今まで知らなかったんだ。
「えー、さっちゃん先輩から聞いてない?」
「え?うん。」
「あー、じゃあ、あれなんじゃない?佐伯君がお兄ちゃんだって知られたくなかった、的な?」
「おい、それは佐伯が可哀想だろ?まぁ、確かに俺でもあれが兄貴だったら、あれだな...。」
「ふふっ。みず兄の方がゆーじゃん。」
佐伯のやつは、俺が澪の兄だということを知っているのだろうか?
「まっ、まだ、さっちゃん先輩には言わないでおくから。」
「おぅ、その方が良いな。」
確かに、佐伯と佐伯。
同じ苗字だが、まさか、兄妹だったとは...。
何で逆に俺は気づかなかったんだ?
これは...俺も都治巳杏里の事を言えないな。
「はぁ...。じゃあ、俺は風呂入ってくるから。」
「はーい。」
風呂に行く道中、あれ、俺のプリンは?
と、上手く会話を逸らされた事に気付いたが、正直、佐伯達の事で頭が一杯だった。
まさか、佐伯幸から佐伯に俺の恥ずかしい情報が漏れているのでは??
え?恥ずっ!
湯気の立つ、浴槽の中で1人そんな事を考える。
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