第42話 部室の中で、波乱の幕開け
「まぁ、一旦落ち着いた所で、えぇっと、そうだな。この部活が何をするのか、って事だけざっくり話して、今日は終わりにするか。」
「あぁ。」
「うん。」
俺の提案に橘さんと、佐伯が揃って返事をする。
今の座り順的に、俺と佐伯が隣同士で座り、その対角線上に橘さんと都治巳杏里が座っているため、女子2人の表情が良く見えるのだが、都治巳杏里という女は、この殺伐とした雰囲気の中で1人だけクスクスと下を向いて笑っている。
コイツ...マジで一発どころか数発殴ってやりたい。
「えーと、まずはだな。この部活の活動方針としては...だな...。」
「おぅ。」
「うん。」
「...ふふっ。」
え?こういう時、何て言うのが正解なのだろうか。
とりあえず、依頼を受けてその依頼を達成する、以上です。で良いのだろうか?
いや、何か頭が悪そうな活動方針だな...。
てか、そこで笑っている女子1名、一回マジで殴らせてくれない?
「んー、そうだな。お助け部という名の通り、何かしらに困っている生徒の相談に乗って、俺たちの手で解決できそうな相談ならば、解決まで尽力する、以上だ。」
「ほーん。まぁ、本当に名前通りって感じだな?でも、その相談をしてくる生徒がいない時は、何しとくんだ?」
「...。え?」
「ププッ...。」
「ん?」
「えーと、そうだな。そこは都治巳さんから、聞いてくれ。」
「えっ、私?!」
いきなり振られた都治巳杏里は、クスクスと笑っていた表情から、自分のことを指さして驚いた表情をみせる。
ふははは!
自業自得とはこういう時のことをいうのだ!
「えーと、そうね...。まぁ、運動かな?」
「え?運動とかするの?!私、運動苦手なんだけど...。」
「ち、違うわよ?あのー、そうね。運動っていってもそんな派手な運動じゃなくて...木刀の素振りとか?!」
「えっ?木刀?」
「ブフッ。」
やばい。
話を振ったのは俺だが、まさかこんな意味の分からない事を都治巳杏里が言うとは思わず、つい笑いが噴き出る。
「な、何...笑ってるのよ!」
「い、いや...フッ...普通こんな部活が木刀の素振りなんてやる訳ないだろ...?」
「...ま、まぁ、そうね...。」
隣を見ると、佐伯も現状を察した様で、下を向いてクスクスと笑っている。
どうやら、理解していないのは、都治巳杏里の隣で座っている橘さんだけな様で、疑問を抱いた表情をしている。
「えーと、まぁ、ざっくり言っちゃうと...依頼がない時は、部室で休息を取るのよ...。以上!」
「いや、ざっくり所か、運動の事すら消えてるけど?」
「えっ、まぁ。運動はしないから安心して、莉奈!」
「あっ、そうなんだ!良かった!」
え?もしかして橘さんも都治巳杏里と同類なのか...?
え??
ふと佐伯の方を見ると、手のひらで口元を隠してクスクスとさっきと同じ体勢で笑っていた。
コイツのこの反応...。
これは、確定で...同類だ...。
「それで、頼水君、これで今日はおしまい?」
「ん?あぁ。2人が納得したなら、おしまいで大丈夫だけど...?」
そう言って、俺は佐伯と橘さんの方に交互に視線を配る。
「おぅ、大丈夫だ。」
「うん。私も!」
「オッケー。じゃ、今日はこれで終わりにするか。」
「はーい。よし、それじゃ莉奈、早くパフェ、行かないと、また並んじゃう!じゃ、またね2人共。」
「あ、そうだった!じゃ、またね、頼水君、裕一。」
「「あ、あぁ。」」
都治巳杏里のやつ、部室に来てから機嫌が良かったのは、パフェがあったからか...。
「はぁ...。俺たち男2人残されちゃったよ...?頼水君?」
「あぁ、そうだな、佐伯君。」
2人で揃って、ため息をつきながら、机に頭を乗せる。
さっきの問答で大分疲れてしまったが、これからこの部活は大丈夫だろうか?
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