第41話
「えーと、ということで、佐伯が後から来る事になってるんだけど...。」
「オッケー!分かったわ。莉奈には私から言っとくわね。」
「あぁ、よろしく。」
俺は放課後すぐ、部室に来ていた都治巳杏里に、佐伯の事を話した。
今日はやけにテンションが高く、ちゃんとまともな返をしてくれる。
コイツ、もしかして都治巳杏里の偽物か何かか??
いつもなら、「はぁ?入部させる前に、私にも一声かけなさいよ!」的な事を言うはずなのに、今日の彼女は、明らかにおかしい。
「あ、ていうか、今日の放課後、莉奈も入部届け持ってくる、って言ってたんだけど...。」
「あ、あぁ。」
まぁ、同じタイミングでここに来るとは思えないし、大丈夫だろ...多分。
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「何で裕一がここにいるのよ?!」
「いや、ただ入部しようと思ってな?ここに。」
「え?!いや、入らなくて良いから??」
フラグ回収があまりにも早すぎる。
数十分前の俺を誰か、ぶん殴ってくれ。
「はぁ?何でだよ?!」
「逆に何でよ?!」
「ん?逆に...?ん?待て...全然、頭に話が入ってこないんだが...。」
「...私もよ?」
お前らお似合いだから、付き合っちゃえよ!
と何処かから、ツッコミが飛んできそうなほど、完璧ボケを展開する2人だが、どうやらツッコミ役らいないらしい。
「もぅ、何を言ってんのよ2人とも...え?何を言ってたんだっけ?頼水君?」
「...さぁな。」
一応、俺も乗っておこう。
「だから!裕一は、違う部活探せば良いの!分かった?」
「だから、俺はお前と一緒の部活がいーんだよ!」
「え?!」
「きゃぁ、見た?見たわよね?頼水君!」
「あ、あぁ。」
佐伯のやつめ、俺という非リアの前でイチャつきやがって。
...しかしながら、俺もイチャついてみたい。
うん。
ふと隣を見ると、都治巳杏里がニコニコしながらその様を眺めていた。
そういえば、コイツも非リアだったわ。
「まぁまぁ、2人とも落ち着けって...」
「...。」
「...。」
え?何この空気感...。
俺もしかして、マズイこといっちゃった?
KYすぎた?
「はぁ....頼水の言う通りだぞ。莉奈。」
「はぁ?何、アンタが上から言っちゃってんのよ?」
「はぁ?」
「はぁ?」
うん、コイツら、放って置いても大丈夫そうだわ。
呆れる俺と、横でクスクスと笑う都治巳杏里。
今日の彼女は、やけに楽しそうな表情をしていた。
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