第39話 え?文化祭...?!
「ごっほん。それじゃ、頼水君!」
「...何だよ、いきなり。」
「今から、文化祭で私達が何を出すのか...一緒に考えるわよ!」
「え?文化祭?」
4時30分を時計の針が指す頃合いで、突然都治巳杏里がやけにテンション高めで話し始めた。
「え?何?担任の先生から聞かなかった?」
「...?」
昨日のことが頭から離れなくて、寝れていないので、今日1日全く誰の話も頭の中に入ってきませんでした。とは口が裂けても言えない。
「いや、あれだな...。言ってたなぁ...?確か。うん、言ってた言ってた。」
「何かおかしいわよ?今日の頼水君。目の下にクマもあるし。」
「クマ?あー、昨日の夜、ちょっと...ゲーム、ゲームをしててな?」
「そ、そう?大丈夫そうなら、いいけど...。」
「大丈夫。大丈夫。」
コイツ...意外と人の事を見てるのか。
いつも馬鹿みたいな事しか言わないから、忘れていたが、よくよく考えてみると察しは良い方なのかもしれない。
「えーとね...。それで、文化祭の出し物なんだけど、ウチってどうするの?」
「え?出し物とかあんの?」
「...本当に聞いてたの?アンタ...。」
「あー、うん。出し物な...?聞いてたって...。えーとまだ決めてないな。」
「そう?じゃあ、突然なんだけどね?昨日莉奈から連絡がきて、この部活に入りたいって言ってきたのよ。」
「え?何でこの時期に?」
「んー、分かんないわ。」
何だ。
何か、嫌な予感がする。
まるで、何かの策略が裏で蠢いてるかの様な。
「斎藤さんって、どっかの部活入ってたよな?」
「えぇ。オカルト何とか部?みたいなのに入ってらしいんだけど、莉奈ってそこの幽霊部員だったらしくて、そこが廃部しちゃって他に入れそうな部活がないらしくてね?」
「それで、この部活に?」
「そうそう。」
「んー、別に俺は構わないけど?」
「そう、じゃあ言っておくわね!」
「ん?で、その斎藤さんの話と、出し物の話のどこが繋がるんだ?」
「え?」
「え?」
さっきの俺の考えは悲しいことに撤回しなければいけないらしい。
残念ながら、コイツはただの馬鹿だ。
「あー、そうね。まぁ、莉奈も入れば?考えも出てくるかな?ってね...思ったのよ?」
コイツ、強引に持っていきやがった...。
顔が引き攣っているが、見ないことにしてやろう。
俺も人のことは言えないからな。
「あれ?てか、文化祭って大体9月とか10月辺りだったよな?」
「え?えぇ。」
「もう後、2ヶ月ちょっとしかないのか。」
「だから、出し物を早く決めないと、他の部活に先越されちゃうって言ってるのよ。」
「いや、別に競わなくても良くないか?」
「はぁ?他の部活と内容が被ったら、私達がパクリみたいな事になっちゃうかもしれないでしょ?!」
おぉ、都治巳杏里の言っていることも一理あるかもしれない。
確かにパクリ疑惑で去年、何度か出し物の内容が被った事で揉めてしまったらしい。
「あぁ、そ、そうだな。」
「もう、何だか、今日の頼水君、調子が悪そうだからそろそろ帰りましょっか?」
「あぁ。」
いや、俺が部長だけどね?
決めるの俺だけどね?
とは思ったが、口には出さなかった。
都治巳杏里なりに気を遣っているのではないか、と思ったからだ。
「はぁ...。それにしても、もう7月っていうのに、まだ全然暑いわね。」
「そうだな。」
セミの声と、まだ少しだけ明るい外の明るさがまだ夏を感じさせる。
とりあえず、暑いのは嫌なので、秋を通り越して早く冬になってください。
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