第38話 黒歴史追加ァ!
「はぁ...疲れたわね〜。でも依頼もちゃんと成功したし、終わりよければ全て良し。って感じよね!」
「あ、あぁ。」
そうやって、俺の方を見ながらニッと笑う都治巳杏里。
まぁ、そうなのか?と思いながらも頭の隅では、いやいや俺だけ、謎に清楚ギャルに嫌われただけじゃね?と考える俺もいた。
「加賀美さん達も、先に帰った事だし、私達も帰る...いや、待って?」
「ん?」
何か、途中で何かを考える様に話を区切った都治巳杏里に俺は疑問の声を一応上げる。
コイツの事だから、どうせ碌でもない事を途中で思いついたのだろう。
「私...絶対太ったわよね?頼水君...。」
「は?」
ほらね?
「いや、絶対に太ったわ...。だって、ハンバーグにグラタン、そしてボロネーゼ。やばいわよ!これじゃ!」
いや食べる前に気づけよ...。
てかこんなに毎日食べているくせに、ボディラインがちゃんと締まっているのはおかしいだろ。
「頼水君!ちょっと、ダイエットコーナーに寄っていっても良い??」
「あ、あぁ。」
普通ならここで帰っているはずの俺だが、正直ダイエットコーナーたるものには少し興味がある。
最近のマイブームが筋トレな俺にとって、ダイエットコーナーという響きは中々に興味をそそられる。
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「ねぇ...!頼水君。これ、ダイエット効果絶大、腰回りのプニっとしたお肉、引き締めても良いですか?って、書いてるんだけど!すごくない?」
「え?」
そう言って、都治巳杏里はフラフープ型のダイエット器具を指差す。
何だ、その売り文句...。と思いながらも確かに少し気になる。
というか、このモールには度々、澪や親と一緒に来ていたが、こんなダイエットコーナーなんてものがあるとは知らなかった。
今日はツイてない、と思っていたが、このコーナーを見つけられただけで、プラスといっても良いかもしれない。
「んー、良いんじゃないか?」
「何よ、適当ね?」
「いや、だって、お前別に太ってないじゃん。」
「え?な、何よ!!」
「...?いや、スタイル良いと思うけど...?俺、なんか変なこと言った?」
「べ、別に!」
何だコイツ。
いきなり顔を赤らめて、俺に興奮した様子で言ってくる都治巳杏里に疑問を抱きながら、俺はそのフラフープの近くに置いてあった、バーベルに目を移す。
50kgと書かれたタグを見て、謎の男心から持ち上げてみるが、数秒浮かせるだけでも腕がピクピクする。
「ププッ、頼水君、ダッサ!ププッ。」
「フッ、まぁ、あれだな。余裕だけど...な!」
「...。ごめんなさい。無理させちゃったわね。」
「...いや...うん。」
え?...やばい、めちゃくちゃ恥ずかしい。
なんか気を使われちゃったんですけど...。
「...帰ろっか?」
「あ、あぁ。」
とりあえず、俺の脳内黒歴史ノートに1つ追加しておこう。
まぁ、別に持てたけどな?今日は調子が悪かっただけで...。
そんな事を、何度も頭の中でリピートしながら鳥肌を和らげる。
だが、家に帰り着いた後も、都治巳杏里の何とも言えない顔が脳内で浮かび、深夜2時まで寝て起きてを繰り返す事を、この時の俺はまだ知らない。
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