第35話 女子って怖い...。


「いや、違うんだ、加賀美さん!これは...その!」


「はぁ...もう良いですから、ちょっと3人で話させてもらえませんか。」


「あ、あぁ。」


そう言って、清楚ギャルは彼氏とその近くにいた友人を連れて、近くのファミレスへと入っていく。


俺と都治巳杏里は、呆然とその場に立ち止まっている事しかできなかった。


「ねぇ...頼水君。」


「何だね、都治巳君。」


「ふむ、私達、何の役にも立ってはなくないかね?」


「ふむ、確かに。お助け部というより、厄災部とか、そんな感じの立ち位置だったではないかね。」


「ふむ、この話し方疲れるのだがね。」


「ふむ、ふむふむ。俺たちはあっちで飯でも食っとくか?」


「そうする、しましょ。」


そんな会話を交わしながら、ファミレスの中が見える位置にある向かい側の、サのつく某ファミレス店へと足を運ぶ。


「いらっしゃいませー!何名様でいらっしゃいますかー?」


「あ、2人です。」


「かしこまりましたー!お席へご案内しますねー!」


「あ、すみません。窓側の席って空いてます?」


「え?あー、はい。空いてますよー!」


「じゃあ、そこでお願いします。」


「かしこまりましたー!」


元気の良い店員の後ろを俺たち2人は、トコトコと付いて行き、窓側の席へと座る。

予想通り、この窓際の席からなら、ファミレスの中までぼんやりと見る事ができる。


あの3人も、俺たちと同じ様に窓際の席を選んだ様で、清楚ギャルと向かい合う様に、彼氏とその友人が座る。


普通逆だろ。

と思いながらも、俺たち...いや俺はそのやり取りを見守る。

まぁ、見守る事しかできないんだが。


「ねぇ!」


「...。」


「ねぇ!頼水君?!」


「うぉっ、何だよ!」


「何だよ!じゃないわよ!今さっきから呼んでるんだけど?」


「え?あ、そう?何かあったか?」


「はぁ...。」とテーブルに膝をついて、その手の上に顎を乗せ、いつ注いできたのかジュースをストローで飲むと、ゴッホンと咳込む様に間を置いた後、真剣な眼差しで俺の方を見る。


「あのね...?ここから見えるわよ?」


「は?」


何を言ってるんだ、コイツ。


「あの3人よ!3人!」


「いや、前から気づいてるんだが。てかわざわざここに座ったの、そのためだから。」


「な、何ですって?!」


目を見開いて、少しオーバーリアクション気味な反応をする都治巳杏里を横目に見ながら、あの3人のいる方を見る。


まだ、コップの水をぶっ掛ける様な事にはなってはいない、が、清楚ギャルは人を殺してしまいそうな雰囲気を放っているため、油断はできない。


いざとなったら、都治巳杏里を召喚しよう。


「ねぇ...。何食べる?」


「え?何か食べるのか?」


「当たり前じゃない。そのためにここに来たんでしょ?」


いつも思うが、こいつの胃袋ってどうなってんの?


「あー、そうだな。じゃ、俺ポテトだけで大丈夫だわ。あんまり腹減ってないから。」


「そう?分かったわ。」


その10分後、テーブルにはハンバーグとグラタンとスパゲッティ、そしてサラダという、3食分の食事が並ぶ事になるのを今の俺はまだ知らない。

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