第33話 【上げ直し・増量版】修羅場阻止のために
「おい、都治巳。ここは一旦落ち着け。」
「...?私は落ち着いてるわよ。」
「そ、そっか。」
慌てているのは俺だけなのだろうか?
目の前を怒りを表した様子で、ズカズカと歩いている清楚ギャルを見ながら、頭を必死に回転させる。
このままの勢いで、清楚ギャルが彼氏のところに行けば必ずといってその場が、修羅場と化してしまうだろう。
そうなってしまったら、もう取り返しがつかない。
彼女と彼氏の関係、そして一緒にいた清楚ギャルの友人との関係が修復不可能になってしまうだろう。
まずは、清楚ギャルを止めたいところだが、彼女を止めるのは至難の業だ。
マジのガチで殺されてしまうかもしれない。
ならば、どうするか?
清楚ギャルを止められるのは、都治巳杏里しかいなかったのだが、先程のやり取りで大分、信頼を失ってしまっている。
ここで、都治巳杏里に清楚ギャルを止めさせたら、逆に都治巳杏里に被害が行きかねない。
俺が行ってもダメ、都治巳杏里が行ってもダメ。
ほぼほぼ詰みじゃないか?これ。
考えるのもだるくなってきた。
が、俺は一応お助け部を名乗っているのだから、ここで思考を放棄していてはいけない。
「ねぇ!これヤバいんじゃない?加賀美さん、あの勢いじゃ、彼氏さんの所に行っちゃうわよ!」
「...あぁ。だから、ヤバいんだよ。」
「えぇ...。どうしよう、私が怒らせちゃったから。」
「いや、お前のせいじゃないだろ...。」
まぁ、多少は都治巳杏里のせいでもあるかもしれないが。
「...あ、そうだ。」
「何よ?何か良い案でもあるわけ?」
「いや、良い案っていうか、何というか...。」
「もう、あんまり溜めないで早く言ってよ!」
「あぁ。俺が、彼氏さんの所に行って接触するというのは、どうだろうか?」
「え?それこそ、ダメなんじゃないの?」
「いや、もう修羅場展開になるよりも、俺が行って、尾行してた事を直接言った方が、まだ上手く収まる気がしてな。」
「...。」
都治巳杏里は、少し考えた後、「そうね...。じゃあ、私が加賀美さんの時間稼ぎしてみるから、早く行って。」と、俺を送り出す。
正直、後が怖いが...。
やるしかない。
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「はぁ...。はぁ...。」
どこだ?!
どこに行ったんだ。
周りを見渡しても、今日は火曜日で割引セールがあるからか、とてつもなく人が多い。
この人混みの中に、清楚ギャルの彼氏を見つけるのは至難の業といえるだろう。
「あの、清楚ギャルどうやって見つけよう、ってんだよ!」
そんな事をブツブツと呟きながら、周りを見渡す。
確か、清楚ギャルの彼氏の格好は黒と白の短パンとTシャツ。
もう一人の清楚ギャルの友人の方は、あまりよく見えかったが、ピンク色の服を着ていたはずだ。
「...はぁ...ふぅ。」
落ち着け。
すぐ慌てるのが、俺のダメなところだろ。
「はぁ...。」
近くにあった、椅子に座って、頭を捻らせる。
あの時、清楚ギャルは何故、あの2人が行くところを分かっている様な素振りで、足を進めていたんだ。
ヤバい。
全くわからん。
一度、都治巳杏里達の元へ戻って、何となく聞き出してみるか?
いや、ダメだろ。
「ふぅ...。」
俺は清楚ギャルの向かっている方向に、遠回りをして、先に回り込む様にして走ってきた。
清楚ギャルの彼氏達が、この方向と同じところに進んでいたのなら、時間的に俺がギリギリ先に出ているはずだが、目的地が分からない以上、途中の店で、止まってしまったかもしれない。
クソッ。
何をやってるんだ、俺は...。
「...。」
混乱の中、ふと右側の通路を見た。
買い物をして帰る主婦、サラリーマンふうの格好をした男性、制服を着た女子高生2人。
その中に、俺の目当てにしていた風貌をした男女2人が見えた。
「見つけた...。」
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