ボクのスキル「針の穴に糸を通す」が無能スキルで追放されたが実は最強スキルだったので無双していると、泣きっ面ぶら下げて見苦しく土下座して来たww

紫葉瀬塚紀

ショート&ショート 1話完結

「何という恐ろしいモンスターだ…」

 ボク達Sランク一歩手前のパーティーの前に立ち塞がったモンスターの力によって、リーダーとボクを除く全てのメンバーが石化されてしまった。だが、リーダーは恐れる事無く剣を構え、モンスターに切り掛かる!

 ズバーン!

 リーダーの一太刀で見事モンスターは真っ二つ!同時にモンスターの魔力が解け、メンバーは全員元に戻った。

「やった!凄いよ、リーダー!」

 喜ぶ間もなく

「オイ、役立たずの屑畜生!早く俺達のフォローをしろ!」

 と元に戻ったメンバーがボクを怒鳴りつける。

「ウ、ウン。今やるよ…」

 ボクはスキル「針の穴に糸を通す」を発動し、メンバーの綻んだ服を手早く縫い直す。ボクはこの能力を買われて今のパーティー「シュガーミルキーパイ」で下ッパとして働いている。キツい仕事だけど皆の役に立っている、これがボクの生き甲斐になっているんだ。

「オラァ、役立たず無能の豚糞ウジ虫野郎!おっせーんだよ!モタモタしてねぇで俺の服も縫えよ、クソが!」

 厳しい罵声がメンバーから飛ぶ。でも後少しでボク達はSランクに到達する。今まで999回のモンスター討伐に成功して来たが、敵の魔力によりリーダーとボクを除くメンバーは毎回石化されていつもリーダーに助けられた。でもその苦労ももうじき終わる。

「だが、お前はもう要らん。無能過ぎて使えんからな」

 リーダーが信じられない言葉をボクに浴びせた。

「そ、そんな…。ボクは今まで一生懸命に…」

「新しいメンバーが決まったんだ。彼はミシン操作のスキルがある。こっちの方が便利。お前はもう要らん」

「ひ、酷い…」

「オラァ、役立たず無能の§※¶♧♭∉(禁止ワード)野郎!オメェなんか要らねぇんだよ!出てけ!糞が!」

 ボクはメンバー全員に袋叩きにされ追放された。

「くうっ…、何で…、これからどうすれば…」

 悲しみに暮れながら森の中を歩いていると、目の前に中型哺乳類型ハンターが出現した。ボクを襲おうとしている!

「このままじゃやられる。でももしかしたらボクのスキルで対応出来るも…」

 ボクの「針の穴に糸を通す」スキル。糸を通す→いとをとおす→いとおとおす→胃と尾通す…

そうか!剣を出して敵の胃から尾まで貫通させればいいんだ!よし、スキル発動!

 ギューン!ギャー!

 空中から現れた剣を中型哺乳類型ハンターに突き刺すと、見事胃から尾まで貫通し中型哺乳類型ハンターは絶命した。

「これならイケる!」

 すると、遠くから悲鳴が聞こえた。ボクはスキルを発動した。

針に糸を通す→いとをとおす→いいおとおとおす→良い音を通す→良く音が聞こえる→音だけで状況がわかる!

「王女の乗った馬車がゴブリンの集団に襲われている!」

 ボクが急いで駆け付けると、寸分違わずその通りの場面に遭遇した。

「今助けるぞ!」

 スキル発動!

針に糸を通す→いとをとおす→いとを→いとお→いとおかし→いとおおかし→いと多仮死→とても多仮死→多くの敵を仮死状態に出来る!

 馬車を襲っていたゴブリン達はあっという間に仮死状態になり倒れた。ボクは馬車から王女の手を引きその場所から逃げた。従者?知らんな。

「私は城を抜けて一人で旅をしているの。助けてくれてありがとう」

 王女だって王族としての仕事あるだろ。業務放棄してんじゃねぇよ。

「あ、せっかくだから二人は対等な関係という事にするわね。敬語禁止ヨ♡これからはタメ口でね♡♡」

 お前、王族の人間が平民如きに対等な口きかれる事に少しは抵抗持てよ。プライド無ぇのか!つか幼少から王族として厳しい教育されて、それなりの尊厳も身に付けていて、だからこそ国民から崇め奉られているのに、何アッサリそれを放棄してんだよ。ポリシー持てよ!

 まぁ、いいや。ボクは指示されただけだもんねー。

「じゃあよー、これからどーすんだよー?メッチャダルいんだけどよー」

「エ~?アタシも面倒い~。テキトーに決めればイイじゃ~ん」

 ボク達は取り敢えず近くの村のギルドに行き、冒険者登録をする事にした。すると金髪ガラ悪のチンピラ三人が絡んで来た。

「オラァ、跳んでみろよ!」

 このままでは金を取られる。スキル発動!

 針に糸を通す→針に糸→針糸→はりいと→はりい

 そうだ!ボクが子供の頃近所に針井さんという空手999段柔道999段の凄い人がいた。あの人の力をコピーして身に付ければ怖い物無しだ!

「そりゃー、大雪山投げー!」

 ボクに投げられたチンピラの内の一人は上空の彼方で星になった。

「テメェらも死にてぇのか!」

「ヒイィィィーッ!!」

 チンピラが逃げ出すと、そこに元いたパーティーのリーダーが来た。

「やっぱりお前がいないとパーティーは駄目になる。戻って来てくれ」

「ハ~ァ?アンタ、俺に不必要って言いましたよねぇ~ ! ?」

 王女様も罵声を浴びせる。

「な~に~?アンタサイテー!キンモーイ!」

「お願いだ。お前が居てくれるとメンバーがお前に八つ当たり出来てストレスが解消出来る。今お前不在のせいで全員鬱憤のハケ口が無くてストレスMAXなんだ!」

 巫山戯んな、テメェ!スキル発動!

針に糸を通す→糸を通す→いいおとおとおす→いいおとおとす→良い音落とす→音の波動を相手に落とす

「食らえー!」

「ギャー!」

 リーダーはほうほうの体で逃げて行った。

「これからさーどーすんのさー。ウケるー」

 王女様の問いにボクは

「なーんかダルいからスローライフでもするかー」

と言うとギルドの受け付け嬢に

「冒険者登録したばかりだろうが!」

 と言って殴られた。そこに女冒険者と哀れな奴隷エルフと元ドラゴンの美人で巨乳の女が現れた。そして理由も糞も無く全員ボクに球根じゃなくて求婚して来た。スキル発動!

針の穴に糸を通す→穴に糸を通す→穴に通す→つまり、まぁ、そういう事だ

 ふう、終わった後の落ち着いた雰囲気がたまらん。賢者タイムってヤツ?そうかボクは賢者にもなれるのか。もう怖い物無しだ!何でも出来る!スキル発動!

針の穴に糸を通す→針のをこの世界をに変える→穴にを全てに変える→糸をを自分の物にに変える→通すをして好き放題に生きるに変える→この世界を全て自分の物にして好き放題に生きる


 あぁ、なんて最高なセカンドライフ!

今日も俺は最強スキル「針の穴に糸を通す」で無双する!


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