最終話 僕たちは拗らせている
たまには孤独に昼食を食べたいこともある。
僕はもうすっかり疲れ果ててしまっていた。
確かに美少女に囲まれ、おっぱいに囲まれ、それはそれは幸せなひとときだった。
だが、僕はやはり本質的にはぼっちなのだ。孤独が似合う男なのだ。
ぼっち仲間だと思っていた飯塚でさえ、実は陽キャのカリスマ美少女だった。
いやまあ、陰と陽を使い分けていることは知っていたが、あそこまで振り切った陽の者とは知らなかった。
僕にはもう眩しすぎる。
翠川も昔の郷愁を引きずっているだけだ。
僕なんかに固執せず、もっとお似合いのイケメンと愛を育むべきだと思う。
いや、やっぱりそれはイヤだな。
僕には固執せず、でも、生涯処女を貫いてほしい。よろしく頼むぜ。
「なに勝手なこと言ってんだ、テメェ……」
ゲェ!? 八鳥!?
いつの間にか八鳥が屋上の入り口に立っていた。
というか、なんでここに!?
「……いや、なんでだろう。分かんねぇ」
何故か八鳥も頭を掻きながら不思議そうな顔をしている。
ここは第一校舎の屋上である。
もちろん、足を踏み入れたのは今日が初めてだ。
第二校舎に屋上があるなら第一校舎にも屋上があるはずだと当て勘で来てみたが、本当に屋上への階段があって扉も施錠されていなかった。
ここなら誰も来ることはあるまい。
そう思っていたのに、何故か八鳥が来てしまった。
どうして僕がここにいると分かったのだろう。
「なんでだろうな。教室におまえの姿がなくて、でも、いつもの屋上には行かねぇと思ったんだよ。十字校舎もなしだ。ハルちゃんがいるかもしれねぇからな。そんで、残ったのがここだったわけだ。ほんとにいるとは思わなかったけどよ」
見事な推理力だ。
というか、なんで僕を探してたんだ?
「……分かんねぇ。一緒に弁当を食べたかったのかもしれねぇ」
確かに、八鳥は両手をパーカーのポケットに突っ込んでいたが、小脇には丸く膨れたポーチを抱えていた。
そういえば、八鳥とはまだ学校で一緒にお昼を食べたことはなかったな。
「だろ? だからかもしれねぇ」
言いながらも、八鳥の態度はいまいち煮え切らない。
さっきから視線は泳いでるし、何か動きが常にもじもじしている。
ははーん、分かったぞ。こいつ、僕に惚れてるな?
「…………」
うむ。まさか、無言とは……。
今のは、本来ならいつもみたいに慌てて怒鳴り返すとか、男殺しの照れ顔を見せるとかの反応を返すところだぜ。
さすがにさ、こういうのはさ、僕も困っちゃうじゃん……。
「……あたし……」
八鳥がフェンスを背に腰を下ろし、膝の上にポーチを乗せて、しかし、中を取り出すわけでもなく、うつむいたまま唇を震わせる。
「……あたし、ほんとにおまえに惚れてるのかもしれねぇ……」
突然、その瞳から大粒の涙を零しはじめた。
唐突なガチ告白!?
どういうこと!? というか、なんで泣いてんの!?
「お、おまえが……昨日、あのあと、ハルちゃんと……っく……そういうこと、したのかもって思ったら……なんか、頭ン中がぐちゃぐちゃになっちまって……っく……」
めっちゃ嗚咽してる! ガチ泣きだ!
というか、してないから! 大丈夫です!
僕も翠川もまだ穢れを知らない無垢な体だから!
「……分かるぜ、マイシスタァ……」
――はっ!? この声は!?
ギョッとして扉のほうを見ると、そこにはいつものクソダサ眼鏡お下げが立っていた。
なんか知らんがヤトリンからシスタァに格上げされた感じか。
「ふっ……どうやらヤトリンとは同じ痛みを味わったシスタァだったみてェだからなァ」
よく分からんことを言っている。
というか、飯塚もなんで僕がここにいること知ってるんだ?
「バカ言っちゃいけねェ。ブラザァがいるところなんて常に把握ずみよ」
なんだと? ついに制服にGPSでも縫いつけられたか?
「そんな周りくどい真似はしねェ。こいつを見な!」
そう言って、飯塚は自分のスマホの画面をつきつけてきた。
あ、これ、スマホの『探す』機能だ。
地図上に僕のスマホの位置がバッチリと表示されている。
――こいつ、勝手に僕のスマホを登録してるじゃん!
そりゃ何処にいても分かるはずだ!
「この前のユーズモールではヘマこいちまったからなァ。二度と同じ過ちは繰り返さないぜェ!」
そうか、あのとき、僕を見失ったことで警戒されてしまったのか。
どうやらもう僕にプライバシーなんてないらしい。
「正直、自分の推理力だけでこの場所を探り当てたシスタァの本気度にはこのわたしも恐れ入ったゼ。思った以上に強力なライヴァルになりそうだってなァ……」
「いや、あたしは見てるだけでいいよ。二人の間に割って入るとか無理だし」
何故か八鳥はすっかり落ち着きを取り戻していた。
膝の上に弁当を広げ、一人で勝手にパクつきはじめている。
なんなんだ、この変わり身の早さは。
「いや、おまえの貞操が無事って聞いて安心したし、なんか泣いたらすっきりした」
ああ、泣いたらすっきりするよね。
それに、僕の童貞が君の心の安寧に寄与するなら僕も本望だよ。
「分かるよ、シスタァ。今度、もっとスッキリする方法を教えてやるから、わたしと一緒に見せ合いっこしようぜェ……」
飯塚が八鳥の隣に腰を下ろしながら、甘い声で非常に卑猥なお誘いをしている。
やめろ、八鳥はひょっとしたらこれから僕の新たなぼっちフレンズになるかもしれんのだ。
悪の道には引きずり込ませんぞ!
「はぁ!? ちょっと待ってよ、アッくんの親友ポジはわたしでしょ!?」
うわ! いきなりキレた!
だって、おまえ、どう考えたって陽の者じゃん!
陰キャのふりをして僕に擦り寄りやがって!
「なに言ってんの!? アッくん、この三年間で真の友人と呼べるのはわたしだけだって言ってたじゃん!」
それはこの三年間の話だ!
これから先はまた別!
この陽キャの皮をかぶった裏切り者め!
ゲラウトしな!
「……アッくん、わたし、本気で怒るよ?」
うお!? す、すみませんでした。
床におでこを擦りつけるので許してください。
僕の真の友人は飯塚沙希さんです。
「分かれば良いんだ、ブラザァ。危うくすべてをかなぐり捨てて襲いかかっちまうところだったゼ……」
思った以上に緊急事態だった。
最近、僕の周りはなりふり構わないやつが多すぎる。
「で、でもさ、あたし、思うんだけどよ。やっぱ、サキちゃんはそろそろ親友ポジを卒業するべきだと思うんだよな」
「……どゆこと?」
急に八鳥が割って入ってきた。
飯塚は怪訝そうな顔で隣の八鳥を覗き込んでいる。
「だって、たぶん、ここからハルちゃんは本気で攻めてくると思うんだ。今のまま親友ポジでのんびりしてたら、こいつがハルちゃんに攻め落とされる可能性もあるだろ?」
「……まあ、一理あるかもしれないね」
いや、あるか? なんでそこに僕の意志が介在してないんだ?
「だ、だから、親友ポジはあたしが引き継ぐから、サキちゃんはハルちゃんとの全面戦争に備えるっていうかさ……」
「……シスタァ、本当の狙いはなんだィ?」
飯塚が、自分の指を八鳥の髪にくるくると巻きつけながら問う。
「い、いや、まあ、親友ってさ、いわゆる負けヒロインポジじゃん? でも、負けヒロインってけっこうオコボレでエッチなことできちゃったりとか、作品によっちゃ勝ちヒロインより先にキスしちゃったりとかもするし、あたしはそういう方向で攻めようかなって……」
いやいや、めっちゃ素直に白状するじゃん。
そういうのは心の中にしまっておけって。
まあ、聞いてる分にはめっちゃときめくけどさ……。
「……っ!? 殺気!?」
――と、急に飯塚が屋上の扉のほうに顔を向ける。
次の瞬間、ドバーンと勢いよく扉が蹴り開けられた。
奥から姿を見せたのは、肩で息をする翠川だった。
まあ、この流れならいつか来るとは思っていましたよ。
「はぁ、はぁ……やっと、見つけた」
ひょっとして、足で探していたパターンだろうか。
登場が遅れたのは校舎内を駆けずり回ってたからとか?
なんにせよ、いよいよオールスターだ。
「アッくん……なんで、こんなところにいるの」
翠川が何やら剣呑な瞳で僕を睨んでいる、
いやまあ、そういう目から逃げるためですよ。
「逃がさない。やっと捕まえたんだから」
僕は逃げ出した動物か何かか?
翠川はハァハァと荒い息を吐きながら、僕の横に座っていつもの山盛り弁当を広げはじめた。
「……でも、まずはお昼ご飯。お腹減った」
まあ、ここまで走り回って来たのなら腹も減ろう。
「ついに揃っちまったな、性杯戦争のメンツがよォ」
飯塚がいつものサンドイッチに齧りつきながら不敵な笑みを浮かべる。
というか、なんなんだその戦争は。
勝利の報酬は僕の貞操か?
仮にそうだとして、美少女三人が男の貞操をめぐって争奪戦とか、今日日ラノベでもそんな設定なくない?
「アイボォ、それはさすがにラノベ界を舐めすぎだぜ。まあ、ここまで他人事を決め込もうとする姿勢は斬新かもしれねェけどなァ」
だって、もう告白イベントもだいたい終わってるし、これ以上は僕の出番なくない?
「こいつ、メンタルが疲れ切って腑抜けになってやがる……」
八鳥が同情的な視線を僕に向けている。
いやだって、僕みたい童貞をこじらせたぼっち隠キャにこの状況は辛すぎるって。
エッチなことに興味はつきないけど、いざ手の届くところにそれがあると知ればビビって逃げてしまうのが僕なのだ。
そうじゃなければ、とっくに飯塚と爛れた学生生活に突入している。
「だが、そんな男だからこそ、わたしは惹かれてるんだぜ、ブラザァ」
まあ、そう言ってくれるのは嬉しいよ。
ただ、だからこそ、皆には僕なんかに執心してこれからの楽しい高校生活を無意にしてほしくないのだ。
飯塚にも翠川にモデルとしての魅力や、ひょっとしたら僕の知らないところでインフルエンサー的な魅力を発揮していたりするのかもしれない。
八鳥だって二人に負けないくらい僕には魅力的だ。
だから、きっと皆が本気で望めばもっともっとその魅力に相応しい出会いや体験があるはずなのだ。
「そ、そうか? あたし、この二人に負けてないかな……?」
八鳥が照れたように頬を掻いている。
くそ、いちいち可愛いぜ。
ダメだ。やっぱり皆が僕以外の男とイチャコラされるのは想像するだけでゲロ吐きそうになる。
それぞれ自分のステージに見合った華々しい青春を謳歌しつつも死ぬまで僕を想って純潔を貫いてほしい。
よろしく頼むぜ。
「めちゃくちゃ勝手なこと言ってやがる……」
「まァ、それでこそマイブラザァだぜ」
飯塚と八鳥に生温かい視線を向けられる。
「……わたしは、ヤダ」
すぐ隣で、それまで頬袋を膨らませながら黙々とモグモグしていた翠川が口を開く。
「わたしは……アッくんと、エッチなことしたい!」
ぐお!? また耳からエッチな波動が!
そういうことは大きな声で言っちゃいけません!
「一生我慢とか絶対無理……アッくんが逃げても、嫌がっても、関係ないし。高校卒業するまでに、絶対エッチなことするから」
モグモグし続けながら、すごい決意表明をされる。
翠川の視線は手許のお弁当に注がれていたが、その目は真剣そのものだ。
まあ、単によほどお腹が空いていただけかもしれないが……。
「……ハルナンの選手宣誓、確かに聞き届けたゼ」
何故かワケ知り顔で飯塚が頷いている。
ハルナン? 選手宣誓? これから何がはじまるんです?
飯塚はサンドイッチの最後の一欠片を口の中に放り込み、僕に向かってびしりと指を突きつけてきた。
「そりゃ、ブラザァのチェリーボゥイ争奪戦に決まってんだろうが! てやんでェ!」
うわ、てやんでぇとかリアルで初めて聞いた。
マジで頭のおかしな事態になってきやがったぜ。
というか、これだけエロ漫画みたいなやりとりしておきながら、誰一人として経験者がいないあたりがすごいよな。
いや、そのあたりも含めてこそエロ漫画か。
だが、僕の童貞をそう簡単に奪えると思わないでほしい。
こう見えて中学二年のときから飯塚の猛攻に耐え続けてきた実績があるのだ。
全身がおちんちんとも言える中学二年のときにだぞ!?
僕のちんちんがどれほどの苦悩を抱えていたか……。
毎日、朝稽古のあとにシコってから学校に行かなければならない辛さが君たちに分かるか!?
「し、しこっ……おまえ、人にどうこう言うくせに自分だって平気で言うじゃねぇか……」
八鳥が顔を真っ赤にしている。可愛いやつめ。
まあ、僕は男だから良いんです。
中高生の男子なんて口からちんちんを吐き出す生きものみたいなところがあります。
「自分自身で越えるべき壁を分厚くしちまってたとはなァ……こんなことならハルナンのことなんて気にせず、さっさとブラザァの初物ペニスを喰い散らかしておくべきだったゼ」
良かった。僕の純潔は翠川によって護られていたのか。
——ん? それってつまり、翠川のせいで僕に手を出せなかったから飯塚は下ネタ誘い受け女になったってことか?
それが原因で僕は童貞を拗らせ、その結果、今の翠川が壁にぶち当たる状況になったと?
うわー、因果って廻るんだなぁ!
「関係ない。壁は、ぜんぶ壊す」
翠川がバイオレンスなことを言っている。
シンプル・イズ・ベスト!
「あたしは、観客でいいや。やっぱ、二人は見た目もそうだけど、勢いが違うし……」
八鳥はちょっと二人に対してパワー負けしてるようだ。
まあ、二人がゴリ押し系だとしたら八鳥は技巧派だもんな。
すでにこれまでにも何度か告白させられかけてるもん。
「べ、別に、おまえに告白されても……いや、その……」
焦ったようにお弁当をガツガツと口の中に詰め込み、そっぽを向きながらモグモグしている。
くそ、好きになってしまう……そういうところだぞ。
「確かに、実はこの中で一番の脅威はシスタァなのかもしれねェ……わたしたちにはないあざとさってェやつを使いこなすテクニシャンだからなァ!」
「そうか。わたしたちは体を責めるけど、マコトちゃんは口で責めるんだね」
なんか言ってる。
口で責めるとかそれはそれで卑猥なんですけど、大丈夫ですか?
「ん……そっか、別に口とか手なら、童貞がどうとかは関係ねぇもんな……」
八鳥が口の中をモグモグさせながら呟いている。
なるほど、これが技巧派の考えかたか。
この口がねぇ、なるほどぉ……。
「そ、想像してんじゃねぇ!」
真っ赤な顔で怒鳴りつつ、唇の端についた米粒をぺろりと舌で舐めとっている。
まったく、舌先の動きがエロいぜ……。
というか、わりとネタ抜きでとんでもないことになってきたな。
翠川が僕を本気で手篭めにしようとしているのは、昨日の一件からも明らかだ。
今後、何かにつけてああいうことがあるのだとしたら、マジで稽古を再開しないと身がもたない気がする。
そもそも翠川も小学校の間はずっとうちの門下生だったわけで、基本的な体幹が他とは違う。
飯塚もひょっとしたらギアを上げてくるかもしれない。
これまでは翠川の存在がブレーキになっていたらしいが、ここからはイーブンだ。
もっとも、あいつも僕と同じで根っこでは処女を拗らせているから、そう簡単に誘い受けの姿勢が変わるとは思えない。
逆に言えば、唯一にして最大の不安は飯塚が攻めに転じたときだ。
飯塚に本気で攻められたら、きっと僕なんて一瞬で丸裸にされてしまう。
何処まで今の関係を維持できるかがキモだな。
そして、まったく別のベクトルで不安なのが八鳥だ。
八鳥は二人とはまったく違う。
決して直接的な方法で攻めてきたり、誘ってきたりするわけではない。
ただ、天然なのか計算なのか、ギャップからくるあざとさがヤバすぎる。
うっかり本気で好きになってしまうかもしれないし、勢いで告白させられてしまうかもしれない。
まさに技巧派だ。
八鳥との関わりかたにも十分に気をつけなければならない。
——そうか。
僕は彼女たちに、争奪戦でもなんでも勝手にやれば良いと思っていた。
せいぜいみんなで勝手に僕を取り合っていてくれ、と。
僕は勝利報酬として優雅に高みの見物を決めさせていただこう——そんなふうに思っていた。
違うのだ。
これはキャッキャうふふと王子様を取り合うハーレム物語ではない。
サバイバルゲームだ。
皆、僕の貞操を狙いに来ている獣たちなのだ。
護らねばならない。
僕は清く正しい高校生活を送り届けるために、このブレーキのぶっ壊れた獣たちからこの身を護らねばならないのだ。
「わたしたちの性春はまだはじまったばかりということさ、ブラザァ」
目を細めながら、飯塚がニヤリと笑った。
そうだ。まだ高校一年の五月だぞ。
ここから先、まだまだ僕らの物語は続いていく。
「卒業までには、絶対する。放課後デートして、そのまま制服でえっちなことするの。高校生のときしかできない。タイムリミットはあと二年半」
やべえ、めちゃくちゃ具体的な目標設定してる。
翠川と制服デートからの制服エロスか。
確かに、想像するだけで僕の僕がイライラする。何せ、相手は学年一の巨乳美少女だし……。
「そんなにノンビリしてていいのかい? わたしはこの夏で決めてやるゼ? 一夏の暑いアヴァンチュールでなァ!」
まあ、そう言いながら飯塚はいつもの誘い受けだろう。
もちろん、あまりたかを括っていると足許をすくわれてしまう可能性はあるから油断はできないが。
去年は水着の露出も控えめだったしな……。
「それより、今度、勉強教えてくれよ。そろそろ中間テストだろ。あたし、あんまり授業についていけてねぇんだよ」
八鳥は意外にも真面目だ。
だが、油断してはいけない。
こういう普通っぽいことから巧みに男心を惑わしてくるのが八鳥という女だ。
勉強中にうっかり指先が触れ合うところから、流れるように告白させられる可能性もある。
冷静に考えれば考えるほど、ヤバいことになってきた。
誰か変われるものなら変わってほしい。
ああでも、僕ほどしっかり拗らせた童貞でなければ一瞬で物語は終了してしまうだろう。
やはり、僕がやるしかないのだ。
飯塚、翠川、八鳥の三人は三者三様にこちらの様子を窺っている。
彼女たちの視線を受けとめながら、僕は腹を括って自分のお弁当に手をつけはじめた。
くそ、味がしねぇ。
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