第88話侯爵夫人の葬儀⑨【親族】

親族が集まる部屋には、ソフィアの父親がアレックとエミリーの関係を話、部屋の中ではアレックとエミリーの話で騒いでいた。

「…なんて事だ…姉の夫に手を出すとは…」

信じられないと肩を落とし首を横に振るソフィアの叔父が声に出していた。

「本当なの姉さん、エミリーがソフィアの夫アレックさんの子を身籠っている話は…」

「え…ええ…」

ソフィアの母親は親族が集まるなか、疑うような目を向けられ一人耐えていた。

「おかしいと思っていたわ。披露宴ではエミリーとアレックさんの姿を良く見かけていたから…エミリーに一度声をかけた事があったけれど、ソフィアが気分が悪いから私が代わりに来たのと言ってエミリーを疑う事はなかったわ…まさか、妊娠していたなんて…その相手がソフィアの夫だなんて…もしかしたら、ソフィアは二人の事を知って…だから…ソフィアが可哀想だわ…」

ソフィアの伯母が涙を流しソフィアの死を悲しんだ。

「昔から、姉の物を欲しがる妹だったからな…まさか、夫までも姉から奪うとは…ルモア家の本家の娘が姉の夫の子を身籠ったと貴族に知れたら一番に困るのは兄さんの方じゃないのか?」

「あ…」

ソフィアの母親は、エミリーとアレックの噂が広まると父親の仕事に影響が出るのではと言われ、母親は戸惑っていた。

「ねえ…エミリーの結婚式は来月でしょう?式はどうなっているの?」

ザワッと親族達が声を出し来月は結婚式だと気がついた。

「…ソフィアが亡くなったばかりだ、式を挙げるわけにはいかないだろう?そう言えば…コルベール家の婚約者が葬儀にはいなかったな」

「…あちらのご家族には知らせていないの…」

「知らせていないのか?エミリーが結婚すれば親戚になるんだソフィアはエミリーの姉だ、何故知らせなかったと言って来るぞ」

「…分かっているわ…でも、まだ婚約者のポールさんにはエミリーの事を話してはいないの…」

「侯爵も妻の妹に手を出す事態がおかしいだろう?エミリーも侯爵も自分達が貴族だというのを忘れたのか?」

「噂話が好きな集まりだからな…俺達も何を言われるのか…」

「ええっ!?そんなの困るわ。お茶会に招待されているのよ…エミリーの話を持ち出されたら…」

「…仕事には影響しないだろうな…」

「兄さん達がエミリーを甘やかすからこんな事になるんだ!」

「ご…ごめんなさい…私達も信じられないの…あの子が姉の夫に手を出すなんて……」

母親は涙を流し集まった親族に謝っていた。

側にいた女性が母親の背中を擦り宥めていた。

「でも、そのお腹の子がアレックさんの子供とは限らないでしょう?エミリーに婚約者がいたのよ、もしかしたら彼の子かもしれないでしょう?」

「…まあ…そうだが…」

「…エミリーが婚約者の彼だけを愛していたら!?」

「…エミリーの事だ侯爵ともしてるだろう…」

ザワッとルモア家の親族達は、エミリーが身籠っているのは誰の子だと騒ぎになっていた。


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