第72話真実を知ったとき…⑯
《★注意!暴力暴言あり》
「こ……婚約者?」
アレックは父親からエミリーに婚約者がいると聞き茫然としていた。
「…知らなかったのか?エミリーから聞いていないのか?」
「…エ…エミリー…」
「……っ」
アレックは父親から胸ぐらを掴まれたまま、母親と一緒にいるエミリーに顔を向けた…
「ソフィアに出した手紙にも書いていたはずだ…ソフィアからも聞いていないのか?」
「……」
アレックは思い出していた…ソフィアが話した事を…『これから先、エミリーと話し合う日々が続くと思います…決めますのは旦那様ですから…』
(…妻が話していた事はこの事だったのか?)
「…お前とソフィアは話し合いが出来ないほど冷めていたのか?」
「っ…」
ギリッ…と胸ぐらを締める父親にアレックは苦しんでいた。
「お父様!アレックが死んじゃう!!」
エミリーが母親から離れ父親を止めていた。
ドカッ!
「がはっ…!!」
掴んでいた手を握りしめた父親は、アレックのお腹に膝蹴りをした!アレックはそのまま体ごと蹲りお腹を支え震えていた。
「ア、アレック!?」
バシッ!
「きゃっ!?」
「お、お父さん!?」
父親は側にいたエミリーの頬を叩いた。
「…お前は…婚約者がいながら姉の夫に手を出すとは…」
ギュッと父親は両手を握り締め苦痛の表情で下を向くエミリーを見ていた。
「…ううっ…ひっく…」
「…来月には式を挙げる予定だと知っていただろう!」
「……ら…っ…」
アレックは父親の話を聞き、エミリーが来月婚約者と式を挙げると聞き唇を噛み締めた。
(…俺と式を挙げると喜んでいたのは、嘘だったのか!?……愛していると言った事も…二人の子供だと言った事も…離婚を早めた事も…俺と結婚すれば婚約者の事が分かったとしても直ぐには離婚は出来ない…と思ったからなのか?…俺は…妻とのすれ違いとも知らず突き放していた…エミリーから俺の事が好きだと言われた時浮かれていた…エミリーから誘いを受け妻には分からないように過ごして来た…妻との離婚もエミリーと話し合い子供を作る事に専念した…なんて酷い男なんだ…さっきもそうだった…子供の為だからと…はじめから妻と結婚するべきではなかったと思った俺は…最低な男で…夫だ…妻が亡くなってエミリーを知る事になるとは……)
アレックは涙を流しソフィアに謝り続けた。
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