第68話真実を知ったとき…⑫
パルリスの屋敷内では、メイド達の噂話が他の使用人に知れ渡り屋敷内はアレックとエミリーの話で持ちきりだった。
「何!?エミリー様が旦那様の子を身籠っているだと!?」
「そうらしい…今では屋敷内はその話ばかりだ」
「はあ~っ、旦那様は何をやってんだ?奥様がいながら…それも相手があの我が儘女だとは」
「おい、聞こえたらどうする」
「あ?別に構わんみんな思っている事だ。お前もそうだろう?」
「え、まあ、そうだが…」
馬小屋の掃除をする使用人は、ソフィアが何故亡くなったのか分かった気がした。
「……奥様の死因が分かった…」
「え?」
「何故、奥様が自ら死を選ばれたのか…旦那様とエミリー様が奥様を追い詰めたんだ…」
「そ、それは…奥様の死は旦那様とエミリー様のせいだと…」
「はあ~~っ…何故、俺は気がつかなかったんだ…おかしいと思う所は何度もあった…旦那様が出かける時はいつもエミリー様を連れていた…馬車に乗る時も降りる時もおかしいと思う所はあった…だが、旦那様には何も言えなかった…いつもの口調で『仕入れ先にエミリーを連れて行く事になった』『披露宴は妻の代わりにエミリーが行く事になった』…先に言われたら俺は何も言えなくなった…」
「…俺も同じ事を考えていた…何故店には奥様に任せ旦那様はエミリー様と出かけるのか?と思っていた」
「…仕入れ先に行くと言っていたが本当かどうかも分からん…そんなに仕入れ先に行く必要があるのか?とも思っていた」
「…旦那様は奥様に嘘を言っていた可能性も…」
「あるだろうな…」
「……まだ、信じられないんだ…数時間前まで奥様は俺達と話していたのに…」
「…俺は旦那様が泊まりに行った日はいつも思っていた…旦那様がこのまま帰って来ない事を祈っていた…」
「お、おい…」
「今のパルリス家は奥様が支えて来たんだ!旦那様じゃあない…」
「……」
「…こんな事を言ったら奥様は怒るだろうか…」
「困った顔で俺達の側にいるかもな…」
「……幽霊でもいいから奥様に会いたいな…」
「はははは…ズッ…」
二人の使用人は涙を流しソフィアの話をしていた。
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