第66話真実を知ったとき…⑩
「…お姉さま~っ…グスッ…グスッ…起きてよ~っ…うぅ…私が悪かったから…謝るから…グスッ…何度も謝るから…お姉様~~っ……」
ソフィアの側で何度も謝り泣き続けるエミリーにアレックは、エミリーの肩に手を置き泣き止むのを待つしかなかった。
アレックとエミリーをソフィアの側に連れて来た執事は二人を残し医師の元へと歩いた。
「…こうして見ていると姉の死を悲しむ妹に見えますが…姉の夫に手を出す妹には見えません…」
医師は、ソフィアの側で泣いて謝るエミリーを見て何処にでもいる姉妹に見えていた。
「……私もエミリー様と初めてお会いした時は姉に恋しく会いに来られた妹と思っていました…ですが、違っていました…エミリー様は、初めから旦那様に会いに来られていたのです」
「!」
医師は驚いた顔で執事の方を見た。
「…それは……」
「旦那様と奥様の結婚式の時からエミリー様は旦那様をお慕いしていたそうです…」
「その話は…アレック様から似たような話は聞きました…エミリー様が告白して来たからだと…」
「奥様は、旦那様がエミリー様の方へ少しづつご自分の側から離れて行かれるのを気づいていましたが、旦那様に問いかける事が出来ませんでした…」
「…話したくても話せなかったと思います…ですが、このような…ご自分を傷つけ逝かれなくても…」
「…奥様は…旦那様を心から愛していたと思います…」
「!」
「最後まで奥様の気持ちに気づかない旦那様は、後悔する日が来ると思います…」
執事はアレックとエミリーの姿を見て、二人が心からソフィアに申し訳なかったと謝る事を願っていた。
その頃、エミリーを叩いたメイドは一緒にいたメイド達の前で泣いていた。
他のメイド達も集まり何があったのか聞いていた。
「…悔しくて…悔しくて…うっ、うっ…」
「何があったの?」
「…セーラが、エミリー様を叩いたの…」
「ええ~~っ!?」
集まったメイド達が驚き騒いでいた。
「どうしてそうなったの?」
「……奥様の眠る側で旦那様とエミリー様が寄り添う姿に我慢出来なかったの…奥様が可哀想で…なんの為に旦那様の所へ嫁がれて来たのか…二人の姿を見ていたら悔しくてエミリー様を叩いたの…」
「……」
メイド達は、話を聞き涙を拭うメイドもいた。
「…私、メイドを辞めるわ」
「ええっ!?」
集まったメイド達は驚いた。
「どうして辞めるの?エミリー様を叩いたから?」
「…それもあるけど…あの人の下で働きたくないの」
「あの人の下?」
「……旦那様はエミリー様と結婚するから…」
!?
「え?」
「嘘?」
「なんで?」
「…エミリー様が妊娠して、その父親が旦那様なの…」
「ええ~~~っ!?」
集まっていたメイド達は大騒ぎとなり戸惑うメイドに泣くメイドもいた…
「どうしょう…どうしょう…」
「エミリー様が奥様になるなんて…どうしたらいいの?」
「メ、メイド長は何処?」
「まだ、奥様の実家から帰っていないわ…」
「…奥様…奥様…どうしたらいいのですか?奥様…」
エミリーのお腹の子がアレックの子だと知ったメイド達は大騒ぎになり、二階にいるアレックとエミリーはまさかメイド達が自分達の事で騒いでいるとは知らずにいた。
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