第63話真実を知ったとき…⑦
執事が部屋に入って来たのに気がついたメイド達とアレックと医師は、執事がゆっくりと歩きベッドの上で眠るソフィアを見下ろしていた。
「…奥様…屋敷に戻るのが遅くなりまして…申し訳御座いません…役所で手続きをしてまいりました…これで奥様は自由になりました。」
執事はソフィアの枕元に封筒を置き頭を下げた…
「リチャードさん、その封筒は…それに自由とは?」
医師は執事に問いかけると執事はアレックの方を見て頭を下げ声に出した。
「…役所で手続きをしてまいりました…旦那様と奥様の離婚が成立いたしました…」
「!?」
「……」
医師と部屋の中にいるメイド達は驚き、アレックは声を出す事もなく下を向くだけだった…
「…酷い…旦那様…」
「奥様に今朝、離婚の話をして手続きを急がせるなんて…酷すぎます…」
「……」
メイド達の声が、アレックの胸に突き刺さるような声を聞き、何も言い返せず黙るしかなかった。
「…アレック様…貴方がこんなに冷たい方だとは知りませんでした…」
「ま…まってくれ、確かに私は妻に酷い事をしてきたと思っている…私は妻にはまだ屋敷を出て欲しくはなかったんだ…だが、エミリーが子供の為に早く離婚をして欲しいと言われ…それで…」
「はあ~っ…」
医師のため息にアレックは真っ青な顔になっていた。
「パルリス家の主は誰ですか?エミリー様ですか!?」
「え!?」
「貴方は今、エミリー様の言いなりになっているただの男です。」
「!!」
「このままでは誰も貴方について行く人はいません」
「あ…」
アレックは医師に言われ気が沈んでいた。
アレックと医師が会話をしているとソフィアの側には執事がソフィアに話をしていた。
「……奥様、申し訳御座いません…旦那様を信じていました私は、この先のパルリス家の安泰に安心しておりました…旦那様の真面目な面を見てきました私は、奥様を生涯供に歩んで行かれると信じておりました…それが‥こんなにも簡単に崩されるとは…先代の亡くなりましたご両親に顔向けが出来ません…」
執事は、ソフィアの顔を見た後重ねていた左手の包帯に気づき目を見開いていた。
「……医師様…奥様の死因は…」
執事は医師にソフィアの死を尋ねた‥
「…奥様は自ら自害を……」
「……」
執事の顔は真っ青になり、ソフィアの側に置いていた封筒を持ち、床に膝を着いたまま座るアレックの側へ歩いた。
「……旦那様…」
今まで見た事もないアレックの姿を見た執事は、今のアレックはパルリス家の主でなく、妻がいながら浮気を続け、女の言いなりで動いている情けない男の姿に見えていた。
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