第61話真実を知ったとき…⑤
ソフィアのベッドの側にいるメイド達は、仲間のメイドの話を涙を拭い聞いていた。
「…貴族の集まりで奥様は行く準備はしていました…ですが、部屋へ戻られました…そのまま披露宴は行かれませんでした…」
「部屋へお戻りに?体調が悪くてですか?」
医師とメイドの会話の途中アレックも話に加わった。
「…貴族で集まる披露宴には妻も誘ったんだ…ドレスも贈った…だが、気分が悪いと言って披露宴には行かなかったんだ…」
アレックは医師とメイドに顔を合わせず披露宴の話をした。
「…アレック様、奥様がご気分が悪いと言われていましたのに、貴方は披露宴に行かれたのですね…エミリー様を連れて…」
「き…貴族の集まりで大事な披露宴でもあったのは医師も知っているだろう?それに…妻が行ってもいいと…」
「だ…旦那様は披露宴からお帰りになった時、奥様に会われずエミリー様と朝まで過ごしました!!」
「な!…っ…」
「は!?」
さっきまでソフィアの側にいたメイドが駆け出し、披露宴から帰って来たアレックとエミリーの話をした。
「…私…その時…奥様と一緒に部屋の中にいました…奥様から旦那様が披露宴からお帰りになったら知らせて欲しいと頼まれていました…私は階段を上っていた時、奥様が廊下で俯せになって…泣いていました…」
「何故廊下で…奥様は体調を?!」
「…いえ、奥様は旦那様の事を話されて泣いていました…」
「お…わ、私の事を…泣いてとは?」
アレックは俯いていた顔を上げメイドを見ていた。
「奥様は…旦那様にはエミリー様がいればいいと…私の事を女として見て貰えない…と言われていました」
「……」
「そして、離婚の話を声に出していました…」
「な…!?」
「奥様が?」
「でも…奥様から離婚の話は出来ないと胸を傷めていたようでした…」
「…奥様に何があったのか分かりますか?」
医師は、ソフィアの側にいたと言っていたメイドに聞きメイドは、アレックの顔をチラッと見て息を吐いていた。
「旦那様は、披露宴から帰られてエミリー様を旦那様の部屋で会う約束をしていました…それを奥様が見ていたそうです…」
「!?…つ…妻が…」
「……」
アレックは真っ青な顔になり床に着いた手を握りしめていた。
「奥様は、エミリー様が旦那様の部屋に行く姿を見ていました…私もエミリー様が旦那様の部屋の前でいます姿と部屋の中に通しました旦那様の姿を私と奥様は見てしまったのです…」
「…ぅ…っ…ぅぅ…
アレックは体を震わせ床に頭を着き声にならない声を出しソフィアに謝った。
「……アレック様…奥様が貴方とエミリー様の姿を見てどんな思いで今まで過ごして来たのか…貴方とエミリー様は…奥様に償いきれないほどの罪を ……奥様の生きる希望をあなた方が奪ってしまった…本当でしたら貴方の子を身籠るのは奥様だったのを…貴方は奥様の人生をも奪ってしまわれた…」
アレックは妻のソフィアが亡くなってから知る事が多かった…
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