第60話真実を知ったとき…④
ソフィアの身仕度をしていた一人のメイドが、医師とアレックの会話を聞き話に加わった。
「…エミリー様が屋敷に住むようになって旦那様はいつもエミリー様とご一緒でした…」
「……」
「ち、ちょっと…私達が話したら…」
「いえ、メイドの貴女方のお話が聞きたいです…アレック様にお尋ねしても奥様を知らないと思いますから…」
「…っ」
アレックは医師に言い返せなかった。エミリーと過ごす日が多く、妻のソフィアの事は仕事意外何も知らなかった。
「…エミリー様が来る前は旦那様と奥様はご一緒に仕事をしていました…お食事も会話が少なくてもご一緒にお食事を取ります事はありました」
「……」
アレックは思い出していた…結婚してから一緒に仕事をしていても食事は一緒に取る事は多かった。
「ですが、エミリー様が来られましてから旦那様は奥様を避けるようになり、エミリー様とご一緒する日が多くなりました…」
「……」
「いつも思っていましたが、エミリー様はご実家からこちらに来ていたのですか?」
医師はパルリス家に来た時、エミリーが屋敷にいる姿をよく見かけていた為気にはなっていた。
「初めて来られました時は奥様に会いにと言われ、時々ご実家から通われていましたが、エミリー様がお泊まりされる日が続き…いつの間にかパルリス家に住まわれるようになりました」
「…奥様はエミリー様が住まわれる事に何かお話はあったのですか?」
「奥様はエミリー様に帰るようにとお話をしています所を見たことがあります。でも、エミリー様は帰る様子もなく…いつの間にか屋敷に泊まるようになりエミリー様のお部屋まで用意するようになりました…」
「…あの部屋ですか…」
医師はエミリーの部屋に入り驚いた事を思い出していた。
(エミリー様の部屋に入り…ベッドの上に広げた服の数に、床には何足もある靴に化粧台には宝石箱を開けたままで、数々の宝石にアクセサリーに驚いたが…実家から持ち出したのだろうかと驚いた…)
「…エミリー様は何もお持ちでなかったので旦那様が買い揃えていました」
「は?」
医師は、何回驚いた声を出したか分からないほどメイドの話を聞き開いた口はそのままだった。
「あ、あの…エミリー様の部屋にあります物は全部アレック様が…?」
「…はい」
医師はアレックの方へ顔を向き、険しい顔を見せていた。
「…アレック様…どういう事ですか?奥様は今ここにある服だけと聞きました…ですが、先程エミリー様の部屋に入り驚きました…」
「……」
「…旦那様は…エミリー様と買い物に行かれ…旅行に仕入れ先にお出かけの時はエミリー様をお連れでした…奥様は一人で旦那様から頼まれていました仕事をして、お二人が帰って来るのを待っていました…」
「……アレック様…貴方という人は…何処まで奥様を苦しめたらいいのですか…」
「……」
アレックは床に膝を着き今まで妻のソフィアにしてきた事に悔やみ、メイドの話を聞く事しかなかった。
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