第51話振り向いてくれるのを願い(48)【遅すぎた夫婦(21)】
ソフィアは目の前で喧嘩をするアレックとエミリーに声を上げた。
「……私の目の前で喧嘩をするのはやめて…」
「…す、すまない…」
「…ごめんなさい…」
「…それからエミリー、私の前で二人で過ごした事を話さないで欲しいわ…」
「……ごめんなさい…」
「すまなかった!!」
突然アレックが頭を下げソフィアに謝罪をした。
「悪かった…本当に…悪かった…俺は、何度も君に謝ろうとした…だが、すれ違う事ばかりで…」
「…もう、いいです…私達は終わったのですから…もう…二度と二人の前に姿を見せる事はないのですから…」
「「え!?」」
アレックとエミリーは驚き同時に声を出した。
「驚くような事は話していませんけど、離婚をして出て行くだけですから」
アレックは茫然としていた…真っ直ぐ自分の方を見るソフィアにただ驚くばかりだった。
「…す、すぐには出て行かないでしょう?お姉様…」
「今日中には出るつもりよ」
「は?今日!?な、何故そんなに早く…」
「そうよ、私はお姉様がここにいてくれないと困るの!実家に帰ってしまったら私が妊娠した事がお父様に分かってしまうわ…」
「……はぁ…いつかは、分かる事を慌てても仕方ないわ…これからどうするのか二人で決める事でしょう?」
「そんな…」
「…貴女はいいわね…いつも側にいてくれる人がいたから…私は側にいて欲しくても……」
ポタッとソフィアの目から涙が一雫落ちる姿をアレックは見て心が揺らいでいた。
涙を拭うソフィアは息を吐いた。
「…私は、あなた達を許したわけではありません…私がいなくなって後悔してくれたら嬉しいわ…」
「……っ」
「…お、お姉様…」
ソフィアは笑みをアレックとエミリーに向け、客室の部屋を出た。
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