第50話振り向いてくれるのを願い(47)【遅すぎた夫婦⑳】

アレックは離婚届けの紙に自分の名前を書きペンを静かに置いた。

「……確認を頼む…」

アレックは、ソフィアに紙を渡し受け取ったソフィアは自分の名前が書いた隣にアレックの名前を見て夫婦の終わりを確認した。

「……これで、貴方と私は他人同士になりました…後は、この離婚届けを役所に渡してください…」

「…わかった…」

ソフィアは離婚届の紙をアレックに渡し夫婦の縁が切れた事を告げた。

「慰謝料の金額は貴方が決めてください」

「え!?…しかし…」

「今のパルリス家に余裕のあるお金は無いと思いましたので、落ち着きました頃に実家に渡してください」

「…あ…すまない…金額は後程知らせる…」

(……今の状況を知っていたのか…本当なら慰謝料の金額は彼女が決めるべきなのに…最後まで彼女は…妻は……)

アレックはソフィアに頭を下げ、申し訳ないと涙を流していた。

「アレック?泣いているの?!もしかして、嬉し泣きかしら?」

「な!?」

エミリーがクスッと笑う顔を見てアレックは真っ青な顔になりエミリーに睨んだ。

「やだ~っ、そんな恐い顔をしないで、さっきのは冗談だから~っ」

「…冗談でもさっきの言い方はないだろう」

「もう、謝っているじゃない恐いわね~お父様は!」

「っ…」

エミリーは笑みを見せてお腹を擦り、アレックはエミリーに言いたい事があったが、お腹の子に障ると思い耐えていた。

二人の様子を見ていたソフィアはアレックに声を出した。

「…アレック様」

「!」

名前を呼ばれたアレックは顔を上げソフィアの顔を見た。

(……そうか…俺達はもう…君から「旦那様」と呼ばれないのがこんなに寂しいとは…)

ソフィアの顔をじっと見るアレックにエミリーは頬を膨らませていた。

「お姉様の顔をじっと見て浮気をしたら許さないんだから~っ!!」

「な、何を言っているんだ!?エミリー…」

戸惑うアレックにクスッと笑みを見せアレックの体に寄り添っていた。

「お、おい、つ…彼女の前で…」

「私達は夫婦なんだから良いでしょう?」

「な…」

「……エミリー…貴女、これからが大変ね…」

「え?大変?どうして?」

「お父様は、貴女が私の夫だったアレック様の子を身籠った事を知っているかしら?」

「え…!!」

エミリーは、ソフィアから父親を言われ今までアレックに寄り添っていた体から離れ真っ青になっていた。

「お父様の性格を知っているでしょう?真面目な父はあなた達のしてきた事が嫌いだという事を…」

「!!っ…」

「…ぁ…ぁあ…」

「アレック様も親族の方が家紋を大切にしている方々だと聞きました…私との離婚の原因が浮気だと分かりました時、騒ぎにならないといいのですが」

「!!」

アレックとエミリーはソフィアから言われ戸惑う姿にソフィアは目を閉じ二人の側を離れようとした。

「…お姉様…助けて…私、お父様から叱りを受けたくないの…謝るから…お姉様の旦那様を取った事を…」

涙を流して謝るエミリーにソフィアは息を吐いた。

「もう遅いわ…貴女のお腹の中には子供がいるの…お父様達からの叱りを貴女は受けなくてはならないわ…謝罪をするのは私だけでなく、貴女が関わって来た人達に謝罪をしなくてはならないの…その覚悟の上で貴女はアレック様を私から奪ったのでしょう?」

「…お父様から叱りを受けるのは嫌よ…だって、アレックが私を受け入れたんだから、叱りを受けるのはアレックの方だわ!」

「な!?…君は…俺が全て悪いと言うのか?」

「だって、私がベッドに潜り込んだ時一緒に寝たでしょう!お姉様とはまだ夜は過ごしていないからって私を抱いたでしょう!!私は悪くないわ!だってお姉様の替わりにアレックと過ごし子供を授かったんですもの」

「!!つっ…エミリー…お前は……」

「やめて!」

「「!」」

口喧嘩をするアレックとエミリーにソフィアは叫んだ。










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