第45話振り向いてくれるのを願い(42)【遅すぎた夫婦⑮】
メイド長の泣く姿を見ていたソフィアは手を取り顔を上げるように言った。
「…妻である私が旦那様に向き合って話をしなくてはいけなかったのに…ごめんなさい…メイド長に辛い思いをさせてしまって…」
「奥様…」
ザッザッとソフィアとメイド長の側に庭師が歩いて来た。
「おはようございます。奥様、メイド長と一緒でしたか」
「あ…おはよう、メイド長と散歩をと思って…」
ソフィアは、庭師の作業の道具を見てエミリーがまた何かを植えるようにアレックにお願いしたのだと思った。
「…旦那様からまた何か植えるようにと…」
「はい、奥様が好きな白い花を植えるようにと言われました」
「え!?私の花?」
ソフィアは驚き庭師の側にある苗を見下ろした。
「奥様、旦那様に花の話をされたのですか?」
メイド長も驚いた顔をしてソフィアに尋ねた。
「…ええ昨日、旦那様に花を植えて欲しいとお願いしたの…」
(まさか、本当に植えて貰えるなんて思っていなかったのに…)
ソフィアは、初めて自分の願いを聞いてくれた事が嬉しく涙が出てきそうだった。
他の庭師が二人歩く姿が見え困った顔で話をしていた。
「まさか、また温室の話が出るとは思わなかったな…それもエミリー様が直接俺達に頼むとは…」
(え!?温室?)
「ああ、それも驚いたが…エミリー様が、奥様が旦那様と別れて自分が夫人になるから子供のために温室を造るようにと言われた時は開いた口が塞がらなかったな」
(え…エミリーが…!?)
「ははは、そんなの嘘に決まっているさ、また旦那様と奥様を困らせる出任せさ!」
「お、おい!お前ら!!」
「え?」
「あ!?」
庭師の二人は、近くにソフィアがいる事を知らずにさっきの話をソフィアに聞かれたと真っ青になっていた。
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