第44話振り向いてくれるのを願い(41)【遅すぎた夫婦⑭】

ソフィアはメイド長と一緒に屋敷の周りを歩いていた。

「あ!奥様おはようございます」

「おはようございます」

屋敷の周りを掃除をするメイド達はソフィアの姿を見て挨拶をしていた。

「おはよう、いつも綺麗にしてくれてありがとう」

「いいえ、私達の仕事ですから」

「でも、もう少し仕事の量を減らして欲しい…は!?メ、メイド長いたのですか…」

愚痴を言ってしまったメイドが驚き慌て出した。

「仕事の量がなんですか?」

「い、いえ、失礼いたします」

タタタタ…と持ち場を離れるメイドに「廊下は走らない!」「は、はい!!」早歩きをするメイドを見ていたソフィアはクスクスと笑い、メイド長はソフィアの笑う姿を初めて見た気がして、涙目になりソフィアに気づかれないように涙を拭っていた。

掃除をするメイド達に挨拶をして見回るソフィアは厨房へと顔を出した。

「奥様!!」

料理長が気づき声をかけソフィアは笑顔を見せていた。

「おはようございます。料理長…ごめんなさい朝食が遅くなって…」

「いえ、奥様が朝食を全部食されたと聞きまして安心いたしました。旦那様とエミリー様がお戻りになりましたが、またご一緒にパイ料理をお作りしましょう」

笑顔を見せる料理長を見てソフィアはグッと耐えていた。

「料理長…ありがとう…」

料理人達に朝の挨拶を終えたソフィアは屋敷の外へと歩いた。

玄関を出たソフィアは周りに植えている花に目を向けた。

「…ピンク色の花と真っ赤な花が多くなったように見えるけれど…エミリーの花かしら…」

「…はい、旦那様がエミリー様にと…」

「……もったいないわ…私が屋敷へ初めて来た頃は色んな花の色が咲いて綺麗だったのに…」

ソフィアはピンクの花に指で触って息を吐いた。

「…メイド長、ごめんなさい…エミリーが屋敷へ来てからパルリス家が変わって行くみたいで…」

「奥様は何も悪くは御座いません…旦那様がすべて悪いのです!」

ギュッと腕を握り締め震えるメイド長は今のアレックに怒りを見せていた。

「旦那様がエミリー様を拒んでいらしたら奥様を裏切るような事は…わたくしは…奥様に謝罪をしなくてはなりません…」

「…謝罪?」

「……わたくしは…エミリー様が旦那様のお部屋に通い続けているのを知っておりました…」

「……」

「旦那様に注意をしなくてはと思いながら…わたくしは何も言えず、見て見ぬふりをして参りました…奥様が心を傷めておいででした時もわたくしは旦那様に言えずにいました…」

「…メイド長…」

涙を流しアレックに何も言えなかった事に後悔するメイド長は、ソフィアに頭を下げ続けていた…





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