第37話振り向いてくれるのを願い(34)【遅すぎた夫婦⑦】
離婚と声に出したエミリーにメイド長とメイドの二人は驚きアレックとエミリーを見た。
「俺も仕入れ先から帰ったばかりで話をする機会がなかったんだ…それに妻は体調を崩してもいたんだ…」
アレックは焦るようにエミリーに理由を話した。
「それもそうだけど…」
不機嫌な顔を見せるエミリーを見て、メイド長は深呼吸をしたあと息を吐きアレックに声をかけた。
「……旦那様、離婚とはなんの事でしょう」
真剣な顔でアレックを見るメイド長に戸惑うアレックは、話を聞かれてしまった事を知りメイド長に打ち明ける事にした…
「…エミリーのお腹の子は…私の子を身籠ったんだ」
「「!!」」
「……」
メイド二人は声が出ないほどに驚き、メイド長はわかってはいたが信じたくなかったと目を閉じた後、アレックを見ていた。
「……この事は奥様には…」
「……話はするつもりだ…」
「…分かりました…医師様の診察が終わりました頃にお連れいたします」
「あ…いや、診察後に知らせるのは…」
戸惑う姿を見せるアレックを見たメイド長はため息を吐いていた。
「はぁ…奥様に少しでも申し訳ないと思いでしたら、奥様を自由にしてあげてくださいませ!」
「!!っ…」
メイド長の叱る声を聞いたアレックは下を向き、両手を膝の上に置いて重ねると小さく声を出した。
「…わかった……」
メイド長は、アレックとエミリーを見下ろしメイド二人を連れて部屋を出た。
「な、何よあれ、アレックはこの屋敷のご主人様なのよ!私が侯爵夫人になったら真っ先に辞めて貰うわ!!」
「……」
客室の部屋を出たメイド長とメイドの二人は扉の前で動けず、グラッとメイド長が立ち眩みをして二人のメイドは驚き体を支えた。
「メ、メイド長!?」
「…大丈夫よ…気が張っていただけよ…」
「メイド長…奥様はどうなるのですか?…本当に旦那様と…」
「……」
メイド長の体を支えていたメイドの二人は涙を流し、ソフィアがこの屋敷を出て行くのが分かってしまった事に声を殺し泣いていた…
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