第36話振り向いてくれるのを願い(33)【遅すぎた夫婦⑥】
「……」
ソフィアが食事の部屋を出ると執事が医師を連れて客室の部屋に入るのを見て、アレックとエミリーが客室にいるのだと…見た後、自分の部屋へと階段を上がって行った。
医師から診察を受けているエミリーは、ドキドキしながら医師の顔をじっと見ていた。
アレックも医師の顔を見て返事を待っていた。
「……ご懐妊のようです」
「「!!」」
アレックとエミリーはお互い顔を見て笑顔を見せ、メイド長とメイド二人は驚いた顔をしていた。
「…それは、身籠っていると言うのか?」
「はい、間違いありません。先ほどエミリー様からの吐き気やお体が怠い等と月の物が、まだだとお聞きしまして妊娠していると間違い御座いません」
「アレック様…私、母親になるのね…」
「ああ…そうだよ」
涙を流して喜ぶエミリーと体を支えて喜ぶアレックの姿を見ていた医師は、疑問を浮かべながら道具を片付けていた。
(…奥様の妹だと分かるが…アレック様があんなに喜ぶとは…確かに、奥様とのお子様はまだだが…それにメイド長とメイド達の表情が暗すぎるのは気のせいだろうか…)
「あの、アレック様…エミリー様のご家族にご連絡をお願いいたします。私は奥様の診察とエミリー様のご懐妊をお知らせいたしますので」
「あ…ああ…そうだな…頼む…」
アレックが戸惑う姿を見た医師だが、まだ、子供を持たないソフィアに妹が先に妊娠してしまった事を話さなくてはならないのが気まずく思い部屋を出た。
「…あの…メイド長…エミリー様のお腹の子は…」
「……」
メイドが不安な顔でメイド長に話しかけていた。
「アレック様、お姉様にお話はしたの?」
「話?」
「もう、忘れているんだから、お姉様と離婚する話よ!」
「「「!?」」」
メイド長とメイドの二人はエミリーがアレックにソフィアと離婚をする話を聞き、驚きで震えが止まらなかった。
「……奥様…」
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