第34話振り向いてくれるのを願い(31)【遅すぎた夫婦④】
タタタタ…廊下を走る音が聞こえ私は目を覚ました。
「……」
エミリーが帰って来た…廊下を走らないようにと何度も注意をしていたけれど、エミリーの一言で注意をしなくなった…
『実家でもないのに、どうしてお姉様から注意をされないといけないの?そんなお姉様だからアレック様から振り向いてくれないのよ!』
エミリーから言われた私は動揺して何も言えなかった。
コンコン!
「奥様お目覚めですか?」
「ええ、起きているわ」
部屋に入って来たメイドは戸惑う姿を見せていた。
「あの…奥様…先ほど…」
「エミリーが帰って来たのでしょう!?」
「あ!はい…」
「…知らせてくれてありがとう…身仕度をお願いできるかしら…」
「はい…奥様」
(…旦那様と昨日お話ができて良かった…二人で歩く事も買い物に行く話をする事も仕事を一緒にする事も…)
ソフィアは目を閉じ息を吐き部屋を後にして食事の部屋へと向かった。
食事の部屋にはアレックとエミリーが先に席に着き、会話を楽しむ姿をソフィアは(またこの日常が始まったのね…)と二人の姿を見ていた。
「あ!来たのか」
アレックが、ソフィアの姿を見て笑みを見せる姿にソフィアは驚いていた。
「…おはようございます…遅くなりました…」
「ああ、俺達も今来たところだ」
(…今まで二人で一緒にいたのかしら…)
「…エミリー、いつ帰って来たの?お父様とお母様は元気だった?」
「え…ええ…元気よ…」
姉のソフィアから両親を聞かれたエミリーは戸惑う姿を見せていたが普通に会話を始めた。
「あ!お父様からお姉様に伝えてと言われていたのを思い出したわ…」
「何…」
「私を、暫くアレック様のお屋敷にいても良いとお父様が言ってくれたの」
「……」
「そうなのか!?」
アレックは喜び、エミリーも笑顔を見せていた。
「アレック様、またお屋敷に泊まっても良い?」
両手を合わせてお願いをするエミリーにアレックは笑みを見せていた。
「ああ、お義父さんから良いと言われたんだ断る理由がないだろう?」
「嬉しい!ありがとう!!」
エミリーはアレックに抱き締めたいが椅子に座っているため動けなかった。
「……」
ソフィアは喜ぶエミリーを見ていた。
(……実家に帰っていたのも嘘…お父様が泊まってもいいと言ったのも嘘…貴女が実家に帰った日…私は手紙を出したわ…私が書いた手紙の内容とは違うお父様からの返事が来たわ…貴女は私から旦那様を奪い…旦那様の人生までも……)
「うっ!」
「ん?どうしたエミリー」
エミリーは口に手をやり、目の前に出された料理の臭いで嫌な顔をしていた。
「…ううん…なんでも…うっ!?」
真っ青な顔で吐くのを止めるエミリーを見たソフィアは真っ青な顔になっていた。
(…エミリー…まさか……)
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