第33話振り向いてくれるのを願い(30)【遅すぎた夫婦③】
涙を流すソフィアにアレックは驚いた。
「え!?な、何故泣くんだ?」
「……遅すぎました…」
「え?何が…?あ…部屋に誘った事が遅いと…」
アレックはソフィアを部屋に呼ばなかった事で『今頃』と言われたと思った。
(…エミリーと過ごす日が続いていたのもあるが…妻を今まで部屋に呼ぶ事は考えてもいなかった…)
「…い、今頃君を誘って遅くなって悪かったと思う…俺も、仕事で忙しい日が続いたり部屋に入るとすぐ寝てしまうんだ…それに、君も体調が悪い日が続いて会えなかったから…」
苦笑いを見せるアレックを見て哀しくなった。
(…いつからこの人は嘘を話すようになったのだろう…私が貴方とエミリーを知らないとでも思ったの?)
「……私が旦那様の部屋にいましたらエミリーが驚きます…それに、旦那様が部屋に誘われましても私は部屋には入りたくはありませんから…もうすぐエミリーも帰って来ると思いますから…」
「え…」
ソフィアは部屋の扉を開けるとアレックの顔を見た。
「…一緒に食事をして頂き有り難う御座います…旦那様と話ができまして良かったです…お休みなさい…」
ソフィアはアレックを部屋の前に残し中へ入った。
「……」
アレックは暫く部屋の前から動けずにいた。
(…部屋に入りたくはないのは…長年妻を一人にしていたから…俺に怒っているのか?確かに俺は妻を…)
『…遅すぎました…』
アレックはソフィアが言った言葉が気になっていたが「…明日の朝食で聞いてみよう…」
一緒に過ごす事を断られたアレックは部屋へと戻った。
アレックが部屋の前でいないことに気づいたソフィアは、扉の前で床に膝を着き涙を流していた…
「…今頃になって…もう、私は旦那様を受け入れる事が……」
震える体を押さえるソフィアは、涙を流し声を出した
「……何もかも遅すぎました…旦那様…」
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