第24話振り向いてくれるのを願い(21)

「…ごめんなさい…貴女にこんな話をしたら困るのに…」

「私でよかったらいつでも聞きます…ですから、この屋敷を出るとは言わないでください」

「……」

「旦那様とエミリー様が奥様を苦しめているのは分かっています…私達使用人は奥様の味方です。私達に話せない事もあると思いますがお一人で悩まないでください…」

涙目で話をするメイドにソフィアは笑みを見せていた。

「…ありがとう…もうすぐここをエミリーが通るから私の部屋に行きましょう…」

「え?エミリー様が?」

メイドはソフィアと一緒に部屋に入り、ソフィアはベッドの上を座ると扉の方じっと見ていた。

「あの…奥様、エミリー様がどうして廊下を通ります事を知っているのですか?」

カチャと離れから扉が開く音が聞こえ、廊下を歩く足音がソフィアの部屋の前を通り過ぎていた。

「…あの…今部屋の前を…」

「…エミリーよ…旦那様の部屋に向かっているの…」

「え!?旦那様の…?」

「まさか」と思ったメイドは、部屋の扉を開けると廊下を真っ直ぐ歩くエミリーの後ろ姿を見て、部屋の前に立ち止まり扉が開きメイドは驚いて見てしまった。

「だ…!?」

部屋の扉を開けたアレックは笑顔でエミリーを部屋の中に通し、その様子をメイドは茫然として見ていた。

「…夜皆が寝静まった頃、エミリーは毎日のように旦那様の部屋に行っているの…」

「ま…!?」

「夜に…旦那様の部屋に行き朝まで戻らないの…」

「お、奥様それは…」

「…分かっているわ…でも、二人に聞き出せないでいるの…聞いたら離婚を旦那様から言われるのが怖いのね…旦那様から離婚を言われたらどんなに楽になるのかと思う心と、愛されていなくても側にいたいと思う心が私の中で揺らいでいるの…」

「奥様…」

「…いつから私はこんなに怖じ気づくようになってしまったのだろうと…思うの…」

「奥様…このままでは…エミリー様が…」

「…そうね…貴女達が困るわね…メイド長に相談…」

クラッと目の前が真っ暗になったソフィアはベッドから倒れ気を失った。

「!?お、奥様!!奥様!?」

部屋の中では、メイドが叫ぶ声が響いていた。





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