第22話振り向いてくれるのを願い⑲【披露宴④】
ソフィアはドレスを切ってしまった事に後悔してベッドの上で眠れずにいた。
「…披露宴から帰って来たら謝りましょう…」
ソフィアはベッドから起き上がり、扉を少し開けアレックが帰って来たら会いに行こうと待っていた。
玄関の扉が開き、アレックとエミリーの話し声が聞こえたソフィアは、床に腰をおろしていた体を立ち上がり部屋の扉の前に立っていた。
「陛下に初めて会ったわ…まだ、ドキドキしている」
「陛下の顔を見て驚いた顔をするとは思わなかったな…」
「だって、お父様と同じと思っていたから、あんなに若いなんて思わなかったもの」
賑やかな話し声を聞いたソフィアは、開けた扉から階段を上がる二人の足音を聞き、アレックが部屋に来るのを待っていた。
「あ!言い忘れていたが、明日から一週間仕入れ先に出張に行かないといけなくなった。一緒に来るか?」
(え……!?)
ソフィアは驚いて、アレックがまた仕入れ先にエミリーを誘っていた。
(…旦那様…貴方は…)
真っ青な顔をしてソフィアは二人の会話を聞いていた…
「う~ん…一緒に行きたいけれど、今回はやめるわ」
エミリーが出張に一緒に行かない事を知ったアレックは驚いた顔を見せていた。
「…珍しいな…出張の旅行に来ないというのは…」
「実家に帰ろうと思うの」
「実家!?…ああ、そうか…ずっとここにいたからな、たまに帰らないと君の両親も心配するだろう」
屋敷に帰ると聞いたアレックは安堵の表情をしていた。
「そうなの、特にお父様が煩くて…だから、アレック様が屋敷にいない時は実家に帰っていたの」
(え?、エミリー実家に帰っていたの?…でも、お父様の手紙には『エミリーに帰ってくるように』と書いていたけれど…)
「そうだったのか、メイドが君が屋敷にいない時があると連絡を受けて、俺も君に聞かなくてはと思っていたんだ」
アレックはエミリーに笑みを見せていた。
「…よけいな事を……」
「ん?」
「あ…ううん、なんでもないの…私がいないからってお姉様を誘わないでね!」
アレックの両手を握りしめるエミリーは、笑みを見せていた。
「誘うわけないだろう、出張先で体調を崩しては困るからな、足手まといになるだけだ」
(…え…)
ソフィアは、アレックの不機嫌な顔を見て体の震えが止まらなく…ギュッと腕を握りしめていた…
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