第21話振り向いてくれるのを願い⑱【披露宴③】

アレックと一緒に行く披露宴を断ったソフィアは、ふらふらと部屋へと歩いていた。

ソフィアの部屋では、メイドが二人後片付けをしていた。

「でも良かったわ、旦那様が奥様にドレスを贈られて」

「そうよね…エミリー様が屋敷へ来てから奥様は元気がないみたいだったから…食事も旦那様と一緒にしてくれたらいいのに…」

メイド二人は、ソフィアが披露宴にアレックと一緒に行ってくれて良かったと喜んでいた。

ガタン!

「!?え?何…」

「…ねえ、扉に何かあるの?」

二人のメイドは、扉に近づきゆっくりと開けると扉の側にソフィアが倒れている事に驚いた。

「!?お、奥様!?」

「奥様、どうしたのですか?」

扉の側で倒れたソフィアをメイド二人で支えながら、ベッドの上にソフィアを座らせた。

「…ありがとう…少し目眩がしただけだから…」

「お、奥様、何があったのですか?部屋を出ました時は顔色が良かったのに…」

「旦那様は?」

メイドの二人は心配してソフィアを見ていた。

「…旦那様は披露宴に行ったわ…エミリーと一緒に…」

「「え!?」」

メイド二人は驚き一人のメイドが声をあげた。

「こ、今夜の披露宴は旦那様と奥様お二人の初めての披露宴で、貴族の方達に紹介します大事な披露宴だと聞きました…」

「……」

「何故エミリー様が奥様の代わりに…」

「…私は…旦那様から女として見てはいないの…」

「…奥様…」

下を向きドレスを握りしめたソフィアはメイド二人にお願いをした。

「…ドレスを脱ぎたいの…手伝ってくれるかしら…」

ソフィアは、メイド二人にドレスを脱ぐ手伝いをしてもらうとドレスを手に持ち暫く見ていた。

「…ハサミはあるかしら…」

「ハサミですか?暫くお待ちください」

メイドはハサミをソフィアに渡し見ていた。

ジャキッ!

「「!?」」

メイド達は驚きドレスをハサミで切るソフィアを慌てて止めようとした。

「お、奥様!?何をするのですか?止めてください!」

ジャキッ…ジャキッ…ソフィアはメイドの叫ぶ声を無視して、ドレスを切り続けた。

「奥様、お止めください、旦那様が奥様に贈りましたドレスなんです!」

ソフィアはドレスを切る手を止め震えていた。

「……知っているわ…私のドレスはエミリーと同じドレスなの…」

「「!」」

「だから、私は違うドレスを作るの…」

「奥様…」

「…ドレスに罪はないのに…ごめんなさい…」

涙を流すソフィアを見ている事しかできないメイド達は、ソフィアが落ち着くまで側にいた。

「…ごめんなさい、心配かけて…ドレスは…棚の中に入れてくれるかしら…掃除を増やしてごめんなさい…」

「いえ…おやすみになりますか?」

「…そうね…旦那様は…」

「まだ、披露宴からお帰りではありません…」

「もし、旦那様が私の事を聞いていたら私はやすんでいると伝えてくれる?」

「はい、わかりました」

ソフィアはドレスの事を謝ろうと体をやすめる事にした。




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