第20話振り向いてくれるのを願い⑰【披露宴②】
部屋に戻ったソフィアは椅子に座りため息を吐いていた。
「…奥様、お着替えを…」
「あ、ええ、そうね…お願いするわ」
ソフィアはドレスに着替え部屋を出ると玄関近くの廊下に、正装姿に着替えたアレックとドレスに着替えたエミリーが待っていた。
「…お待たせいたしました…」
「お姉様、綺麗~っ!私のドレス姿似合ってる?」
「え…ええ、似合うわ…」
「ふふふ、サイズもピッタリなの!お姉様も私と変わらない体型だからドレスのサイズがピッタリでしょう!?」
「…ええ…そうね…」
(本当にドレスが体に馴染んでいる…旦那様はいつ私の体を…)
「ドレスのサイズはどうだ?」
「はい…体に馴染んでいます。有り難う御座います」
アレックは、満足そうに笑顔を見せドレスのサイズをソフィアに聞いていた。
「それは良かった。エミリーと体つきが同じだと思って買ったのだが良かった」
「え…」
「やだ~っ、アレック様。私の体を見てドレスを買うなんて~、もう、アレック様ったら」
「い、いや、そういうわけでは…」
「……」
アレックとエミリーを見ていたソフィアはドレスを握りしめ震えていた…
「…も、申し訳ありませんが…気分が悪くなりましたので、披露宴はお二人で行ってください…」
ソフィアは、アレックの返事を待たずに階段を上がり途中で足を止めた。
(…旦那様はエミリーを見ているから私を見て…初めて旦那様から頂いたドレスだから…)
ソフィアは上がっていた階段を止め、下へと戻ろうとした…
「お姉様、急に具合が悪いなんて無理していたのかしら?」
「そうだな…一緒にいて分からなかったが…」
「お姉様は、奥さんなのにお兄様は誰を見ていたのですか?」
アレックの両手を握りしめたエミリーは顔を近づけた。
「待て!誰が見ているのか分からないんだ」
「あ、ごめんなさい、馬車の中でも良い?」
「ふっ、甘えるのが上手くなったな」
「ふふふ、今夜は私が侯爵夫人です」
「では、行こうか。侯爵夫人」
「はい」
エミリーはアレックの腕を組み体を寄り添い、二人は屋敷を出ると馬車に乗り披露宴へと向かった…
「……」
ガタガタと震えるソフィアは、階段の途中で座り込み声を殺して泣いていた…
「…う…ううっ…私は…私は……」
ソフィアは階段をフラフラと歩きながら上がると部屋の方へ歩いて行った。
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