第19話振り向いてくれるのを願い⑯【披露宴】
貴族の集まりで披露宴に招待されたアレックは、部屋にソフィアを呼びドレスを渡していた。
「…披露宴ですか?」
「ああ、貴族の集まりで招待された…乗り気ではないが行かないわけにはいかないだろう…君も今は体調が良いと聞いた。披露宴に行けると思ったんだ」
「……」
ソフィアは渡されたドレスをじっと見ていた…
「屋敷にいるだけでは息が詰まるだろう?」
「…良いのですか?」
「ああ…」
ソフィアはアレックが誘ってくれた事に喜び笑顔を見せていた。
「いいな~っ、お姉様は、ドレスのプレゼントを貰って、私もドレスを着て披露宴に行きたい!」
エミリーは、頬を膨らませアレックの机に両手を着き「行きたい」とアレックにお願いしていた。
「エミリー、我が儘を言っては…」
クスッと笑みを見せるアレックは、机の下からもう一着ドレスを机の上に置いていた。
「君にもドレスを買っている」
「え…!?」
ソフィアは驚いて色違いのドレスに目を向けた。
「きゃ~っ!本当!?素敵アレック様…でも、ドレスを貰っても一緒には行けないのに…」
「披露宴では、君も招待された。妻の妹だと話したら許可を貰えたんだ」
「え!うそ~っ、嬉しい、ありがとうアレック!!」
「!?」
エミリーはアレックの頬にキスをして、それを見たソフィアは驚いていた。
「…エミリー…」
「あ…ごめんなさい、お姉様がいたのを忘れていたわ」
「……」
「こほん、着替えて来ると良い」
「は~い」
エミリーは廊下をパタパタと走り部屋へと向かった。
アレックは、部屋を出たエミリーに笑みを見せていた時、ソフィアの視線に気づくと目を逸らしゴホンと咳をした。
「…何か言いたそうだな…」
「…エミリーが触れても嫌な顔はしないのですね…それに慣れているようにも見えましたが…」
「ごほっ、ごほ…な、何を言い出すんだ…君は…」
「……」
「…あ…いや、妹の様で可愛いと…俺は兄弟がいないから…」
「……」
(妹のようなら部屋に連れても…いつからこの人は嘘を言うのがあたりまえのように…)
じっと見るソフィアの視線が気まずいアレックは、何もないようないつもの顔に戻り、ソフィアに準備するように声をかけた。
「…君も早く着替えたらいい…」
「…わかりました…」
冷たい声を出すアレックにソフィアはドレスを握りしめ部屋を出た…
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