第15話振り向いてくれるのを願い⑫【肖像画②】

「え!?私アレック様の歴代に入るの?」

「貴女は黙ってて!」

ビクッとエミリーが驚き、その様子を見ていたアレックがエミリーを庇うようにソフィアに声を出した。

「エミリーにその様な言い方は…」

三人の様子を見ていた画家はソフィアに目が行き声をかけた。

「…あの、お話の途中申し訳御座いませんが…こちらの夫人は…」

「旦那様の奥様です」

「は?あ、あの、私が描きましたこちらの女性は…」

「奥様の妹です!画家様は奥様ではなく妹の方をお描きになったのです!!」

「な!?」

画家は真っ青な顔になりソフィアの方へ顔を向けた。

「…す、すまない…エミリーがどうしても一緒に描いて欲しいと言われ…い、今から画家に君と一緒の肖像画を描いて貰うが今からでもいいか?」

「……」

(旦那様の慌てた姿は真っ青な顔で、私に頼んでいた…歴代から続くパルリス家の肖像画だから、親族から何か言われると思い今頃になって旦那様は気づいたのでしょう…)

「アレック様、大変申しにくいのですが…歴代の絵は額に入れましたら外す事はできないのです…」

「な!?では、何故額に入れた?」

「私は、最初から申しました…今日歴代の肖像画を描きますから奥様をお呼びくださいと…そしたらこちらの女性と一緒に描いて欲しいとアレック様が申されました」

「…っ」

アレックは机に手を着き、戸惑うアレックにエミリーが手を握り笑みを見せていた。

「アレック様、何も落ち込まなくても良いじゃない、このままアレック様と私の肖像画を飾って良いのでは?」

バッ!

「君は黙ってくれ!」

「!?」

エミリーの手を振り払ったアレックにソフィアは驚いていたが、またいつものように変わらないだろうとため息を吐いていた。

声を上げたアレックに驚いたエミリーは目に涙を溜めていた。

「な、何も怒らなくてもいいでしょう?アレック様が一緒に描こうと言ったじゃない、私のせいではないわ」

頬を膨らませたエミリーは部屋を出て行き、アレックはため息を吐いて困る顔を見せていた。

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