第11話振り向いてくれるのを願い⑧
アレックの店は、他国からの品物を取り寄せ城内にある街中の商店街に店を出している。
珍しい品物が多く、客の出は多かった。
ソフィアは、時々アレックの代わりに店に出向き店員達と一緒に働くこともあった。
店にいる時だけは、二人の事を忘れ自分用の部屋に籠り好きな本を読むのがソフィアの楽しみでもあった。
アレックの店は城からでも注文があった。
「ええっ!皇后様と皇子様達に会ったの?」
アレックの部屋でエミリーが声を上げ、その様子を書類を整理していたソフィアは背中を向け二人の距離を離れていた。
「ああ、今度皇后様の三人目の子供が産まれてくるお祝いの品を届けた時に会ったんだ…皇后様のお腹は大きくなっていたのかわからなかったな…」
「アレック様、皇后様のお腹を見るなんて…」
「え…いや、ただ子供がお腹の中にいると聞けば見てしまうだろう?」
「そうかしら、お姉様さっきの聞いた?アレック様ったら、皇后様のお腹をジロジロと見ていたのよ~」
「……」
「ジロジロは見ていない、ただ自然と目を向けて…何故、俺が説明しないといけないんだ?」
「ふふふ、今回は許してあげます」
「はあ~っ」
「……」
他人が見れば仲の良い姉妹と姉の夫に見えるだろう…
「皇子様達はどんな子なの?」
「そうだな…二人とも仲の良い兄弟に見えたかな、特に弟のジェラルド皇子は部屋の中を走り回り元気が良いが、メイド達が大変そうに見えたな…兄のアルフォンス皇子は、俺が持ってきた品物に興味があるようで質問責めに合い俺が戸惑ってしまった」
苦笑いを見せるアレックにエミリーも一緒に笑っていた。
「兄弟仲良しなんて、まるでお姉様と私みたいね」
ピクッと書き物をしていたソフィアの手が止まった。
「姉の仕事を邪魔をしている妹に見えるんだが」
「ひど~い、だってお姉様のお仕事の部屋がアレック様の部屋なんだもの、別に仕事用の部屋を造ってもいいと思うわ」
「…エミリー、旦那様が決めたの無理は言わないで」
「…はーい…」
次の日、私は旦那様から聞いて驚いてしまった…
「え…仕事部屋を変えたのですか!?」
「ああ…今まで俺の部屋で仕事をしていたが、空き部屋があるのを思い出したんだ。エミリーが俺の部屋に来ると君も仕事が出来ないだろう」
「…旦那様も仕事部屋でするのですか?」
「いや、俺はいつものようにこの部屋で仕事をする。俺が部屋にいないとエミリーが捜すだろう?必要な物や聞きたい事があるときは、俺の部屋に来ればいい」
「……エミリーは関係ないのでは…」
「ん?」
「…なんでもありません…」
旦那様と一緒に仕事をする事が減って一人仕事の部屋になってから、旦那様に用があって部屋に行ってもいつも留守が多く、執事からの言伝てが何度もあった…珍しく部屋にいると思えば、エミリーの笑い声と会話が弾む旦那様の声が聞こえ、部屋に入る事が躊躇う日が何度もあった…
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