第5話振り向いてくれるのを願い②

私に会いに来たと言っていたエミリーはいつも旦那様を見ていた…

「エミリー、貴女帰らなくていいの?お父様達が心配しているわ」

「暫く、アレックお兄様の屋敷に泊まるからお父様には知らせているわ」

「え!?初めて聞いたわ…旦那様には話したの?」

「ええ、アレックお兄様の許しは貰ったわ」

(いつの間にそんな話を…)

「そういう大事な話しは私に最初に…」

「あ!アレックお兄様、今日からお世話になります」

「ああ、自分の屋敷と思ったら良い」

「嬉しい!」

私が旦那様に声をかけようとしたけれど、私を避けるように旦那様はエミリーを屋敷に迎え入れた…

エミリーが屋敷に泊まるようになって私の生活が狂い始めていった…

エミリーが屋敷に泊まり始めてから食卓は一人でいる時が多くなった。

「旦那様とエミリーは?」

「……今夜は遅くなりますと旦那様が言われまして…先にお食事を済ませてくださいと…」

「…何処へ行くと言ったの?」

「行き先までは…申し訳御座いません…」

「……」

いつも食卓で謝る執事が日課のように私に知らせていた。

久しぶりに旦那様と一緒に仕事をしている時、私はエミリーと何処に行っているのか尋ねた。

「…旦那様、最近エミリーと何処へお出掛けしているのですか?」

私が行き先を初めて聞いた事に旦那様は驚いて私を見ていた。

「…君には関係ないことだ」

「エミリーは、私の妹です。両親に代わって面倒を見ているのです。何かあった時は……」

「はぁ…君といると息が詰まる」

「え…」

「エミリーのように笑顔を見せる事は出来ないのか?」

「……」

「はあ、休憩する…」

カチャ!ノックもなしでエミリーはアレックの部屋に入り笑顔を見せていた。

「あ!今から休憩?」

「ああ」

「良かった!庭園で紅茶を用意したのアレックお兄様と一緒に飲みたいと思って」

「それは楽しみだ」

「……」

一人部屋に残されたソフィアは部屋の窓から見えるアレックとエミリーの歩く姿を見て、エミリーの話をするとアレックはソフィアを避けるようになった。

アレックとのぎこちない日々が続いたある日、メイドからエミリーの部屋に来るように言われた。

「お姉様、遅いっ!」

「…何?私に用があるから部屋に来てと呼ぶなんて」

エミリーの部屋に来て余りいい顔はしなかった。

夫のアレックはエミリーの部屋を与えていた。

「ねえ、ねえ、これ見て!」

「…どうしたの?こんなに沢山の服に靴…まさか…」

ベッドの上に重ねた服が何十着と並べ置き床には靴が何足も並んでいた。

「これ、ぜ~んぶアレックお兄様から頂いたの」

「…旦那様から…でも貴女最近旦那様から買って貰ったばかりでしょう?」

「私、荷物無しでここへ来たでしょう。この前お出掛けした時にまた買って貰ったのどれも高いお洋服で素敵でしょう!?」

「……」

旦那様の元へ嫁いで半年近くになるけど、妻となった私には旦那様からの贈り物はなかった……

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