episode: 002『01 美しすぎる皇子、誕生! ~桐壺の君は運命の子~』


天皇様、更衣の死を聞いてマジでショック。そのまま引きこもっちゃった。現代でいうところの「自宅警備員」状態。


天皇様は更衣との思い出の子である皇子を側に置きたかったんだけど、母親が亡くなった直後の皇子が宮中にいるのはNGなんだって。だから、皇子も更衣の実家に帰ることになっちゃった。


皇子はまだ何が起こったのか全然わかってなくて。周りの侍女たちが泣いてるし、天皇様も泣いてるし。「なんで皆泣いてるの?」って感じで首をかしげてる。


普通の親子の別れでも悲しいのに、この状況での天皇様の気持ち...想像もつかないくらい辛かったんだろうね。


いくら大切な人でも、亡くなったら葬式しなきゃいけないんだよね。更衣のお母さん──もう未亡人なんだけど──は「娘と一緒に燃えちゃいたい」って泣きじゃくってた。まじ辛そう...


そして、葬式の車に乗って愛宕の野の超厳かな式場に着いたときの未亡人の気持ち...想像もつかないくらい悲しかったんだろうね。


「死んだ人を見ても、まだ生きてるみたいに思っちゃう私の迷いを晴らすために、行かなきゃ」

って賢いこと言ってたんだけど、実際は車から落ちそうなくらい泣いちゃって。女房たちは「やっぱりね」って顔してた。


そしたら、宮中からお使いが葬式会場にやってきたの。

更衣に「三位」っていう位を贈るって。

勅使がその宣命を読み上げたとき、未亡人はもう泣きすぎて涙も出ないくらいだった。


ちなみに、「三位」ってのは「女御」と同じくらいの位なんだって。

天皇様は「生きてる間に女御にしてあげられなかった...」ってめっちゃ後悔してて、だから死後にこの位をあげたんだ。


でも、こんなことでさえ後宮の人たちは「ムカつく~」って感じだったみたい。嫉妬こわ。


でも、優しい人たちは「あの人、めっちゃ美人だったし、性格も良かったよね」って、今更ながら桐壺の更衣の良さを思い出してた。


「あの頃は天皇様の寵愛がすごすぎて嫉妬しちゃったけど...」って、昔のことを思い出してる人もいたみたい。


天皇様付きの女官たちは皆「あの人、優しくて思いやりがあって、いい人だったよね...」って、更衣のことを懐かしんでた。


「人は、いなくなってから恋しくなるものだね」っていうのは、まさにこういう時のことを言うんだな~って感じ。


時間って人の悲しみなんてお構いなしに過ぎていくよね。七日ごとのお葬式が次々に行われて、そのたびに天皇様からお弔いの品がドバッと送られてきた。


大好きな人が亡くなって、日が経つにつれて天皇様の寂しさはMAX。もう他の女御や更衣を呼ぶこともなくなっちゃった。


天皇様の毎日は涙でびしょびしょ。見てる側までなんだか湿っぽい気分になっちゃう、そんな秋だった。


「死んでからまで人の気分悪くさせるなんて、天皇様の愛情すごすぎ」

なんて言って、右大臣の娘である弘徽殿の女御は、今でも嫉妬心MAXだった。


天皇様は、長男を見ても更衣との間の皇子のことばかり気になっちゃって。親しい女官や自分の乳母を更衣の実家に派遣して、若い皇子の様子を報告させてた。


台風みたいな風が吹いて肌寒い日の夕方、天皇様はいつもより更衣のことを思い出しちゃって。靫負の命婦っていう人を使いとして送り出したの。


きれいな夕方の月夜に命婦を出発させて、天皇様はそのまま深~い物思いにふけってた。


昔はこんな月夜に音楽会みたいなのをやってて、更衣もそれに参加して音楽の才能を見せびらかしてたんだって。


そんな夜に詠む歌も、ただものじゃなかったらしい。オールマイティーすぎない?


天皇様の目には、更衣の幻影がずっとついて回ってて、全然消えない。


でも、どんなにリアルな幻想でも、一瞬の現実には敵わないんだよね...。


命婦が更衣の実家(元大納言の家)に着いて、車が門の中に入った瞬間から、もう言葉にできないくらいの寂しさを感じたんだって。


未亡人の家なんだけど、一人娘のために外見だけはちゃんと保ってたんだって。でも、娘を失ってからは女主人が放心状態で、庭の雑草がどんどん伸びちゃってた。


最近の台風みたいな風で、家の中はもっと荒れ果てた感じになってた。でも、月の光だけは伸びた草も気にせずに差し込んでて。そんな南向きの部屋に命婦を迎え入れた女主人は、また悲しみでいっぱいになって、言葉も出ない感じだった。


「娘を死なせた母親が生きてるなんて...運命が恨めしいです。こんなボロ屋にお使いが来てくださるなんて、恥ずかしい限りです」

って言って、もう止まらないくらい泣いちゃった。


「ここに来ると、もっと悲しくなっちゃって、魂が抜けそうです。先日、典侍さんも天皇様にそう言ってましたけど、私みたいな浅はかな人間でも、本当に悲しさが身にしみます」

って言って、しばらくしてから命婦は天皇様のメッセージを伝えたんだ。


「最初は『これって夢?』ってずっと思ってたんだけど、やっと現実に戻ってきたら、もう悲しさMAXでさ。

こんな時どうすりゃいいの? 誰かと話せたらいいのに...でも、そんな人もいないし。

ねえ、こっそり宮殿に来られない?

若宮のこと、ずっと会えなくて気になるし。それに、若宮も悲しい人たちに囲まれてかわいそうだから。早く宮中に連れてきて、あなたも一緒に来なよ」


「天皇様はこう仰ってたんだけど、泣きすぎて言葉になんないし、それでも強がろうとしてて...見てるこっちが辛くなっちゃって。だから、大体の内容だけ聞いてきたんだ」

って言って、命婦は天皇様からのメッセージ以外の情報も渡したの。


「最近は泣きすぎて目も見えなくなっちゃったけど、こんな私にもったいないお言葉、光明になります」

って言いながら、未亡人は天皇様からの手紙を読み始めた。


「時間が経てば寂しさも和らぐかな...」なんて思って毎日過ごしてるけど、日が経つほど悲しみが深くなるってどういうこと? マジ困るんだけど。

「若宮のこと、どうしてるかな~って心配してるよ。両親揃った幸せを失っちゃったからね。子供を亡くしたあなたに、せめてその子の代わりに面倒見てあげてほしいんだ」

みたいなことが、細かく書かれてあった。


「宮城野の露を吹き寄せる風の音に、小萩のあなたを思い出すよ」

みたいな歌も書いてあったんだけど、未亡人は涙が止まらなくて、はっきり読めなかったみたい。


「長生きしたからこんな悲しい目に遭うんだって...それが世間の人の前で私を恥ずかしがらせるんです。だから、宮殿に行くなんて考えられません。

ありがたいお言葉ですけど、私が伺うことは今後もできそうにありません。

若宮様は、やっぱり父子の情が本能的にあるみたいで、早く宮殿に入りたがってるんです。それはもっともだと思うし、かわいそうだと思ってます。これは正式な報告じゃなくて、何かのついでに伝えてください。

夫も早く亡くなるし、娘も死なせちゃうし...こんな不幸続きの私が一緒にいるのは、若宮にとって縁起が悪いと思うんです」

って言ったんだって。


人生辛すぎでしょ...。


(つづく)

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