第3話 伝令と一時的な別れ

 同棲を 始めて2ヶ月後、セオのもとに伝令が届いた。

 大陸北部から侵略部隊が来るとの伝令である。

 時刻は午前6時。シルクの毛布をめくって、リリより先に起き上がると、スリッパを履いて、カーテンを少し開いた。

 窓の隙間風は冷たくセオの体を鍛えさせる。

 セオは寝ているリリにキスをすると自宅を出発し、馬に乗り、最前線へ向かう。

 最前線には、同じ騎士団員でセオの最も信頼する仲間のビリーが既に侵略者と戦っていた。

 そこにセオも参戦する。

 弓に関しては腕利きのセオは自軍を優位に立たせることに成功した。

 帰り際、セオは誰も居ない場所でビリーにリリとの関係を打ち明ける。

 独身フリーのビリーは悔しそうに笑い、「大事にしてやれよ」と言った。

 セオが無事帰宅すると、珍しくリリから抱きついた。

「どれだけ心配したことか……」

 セオは腹に顔を埋めるリリの頭を優しく撫でた。

「すまない、リリ。でもこうして無傷で帰ってきたぞ」

 セオは優しく抱き返した。

 花時計は午後7時を回っていた。

「とりあえずお風呂入って来てください。私はお夕飯を温め直しますから」

「ありがとう。じゃあ、遠慮なく入るとするか。入浴剤は?」

「今日はラベンダーのアロマです」



 セオがお風呂からあがると、リリは世界情勢について聞く。

 セオは誇らしげな表情で語る。

「北部の制圧と獲得に成功した。

 これからは北部も味方になる。

 北部民族との友好条約も明日の朝に結ばれることだろう。祝勝会は明日の早朝に開かれる。

 なに、帰りはおそくならないさ」 

「回復魔法をかけましょうか、さぞやお疲れでしょう?」

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