第23話監視役1日目、勝てない、圧倒的なる力の差
「誰だ?お前」
「西華臥竜の代わりに監視役を務める。零です」
「・・・あっそ」
僕の姿を舐めるように見た後に
興味が無かったのかすぐに本を読むのに戻った遺物狂い
「・・・」
「・・・」
本を捲る音だけが部屋に響く
静かなるいい時だ
「・・・・」
「・・!!」
たった一瞬、たった一瞬だけ目線を他にやった瞬間
遺物狂いが僕の視界から消えた
「ナ!」
「なにやってんだ?早く行くぞ」
後ろから声がし、振り返った瞬間目の前に遺物狂いが立っていた
「監視役だろ?早く着いて来てくれ」
「・・は、はい」
あ、これ勝てん。零は心の中で呟いた
「・・・」
「ちょ、窓から飛び降りようとしないで下さい」
「大丈夫。俺は耐えれる」
「そういう話じゃないです」
「人のノートを勝手に奪ったらダメです」
「使ってないノートだからいいだろ」
「人のなんでダメです」
「僕の遺物盗まないで下さい!!」
「・・・くれ!」
「駄目です!返してください!」
数時間後
「ぜぇ、、ぜぇ、、」
「お前体力無いな。本当に大丈夫か?」
「あなたのせいですよ!!なんで行く先々で!問題を起こすんですか!!視界から消えるのも早いし!」
「警戒し続けろよ。それが仕事だろ」
正論は正論だが、意図的に消えてる人には言われたくない!!
「気配消さないで下さいよ!それなら!」
「気配消してないけど?元々だぞ。これは」
「なにを、、、エ?」
「ちゃんと目の前にいるぞ。姿見えないだろうけど」
目の前から遺物狂いの声はする。だが姿が見えない
「俺が気配消したらこれだ」
「い、遺物使ってます?」
「使ってない。というかなんでこの程度のことで遺物使うんだよ」
「・・・・」
「ほら。行くぞ」
「・・・はい」
凄く強い犯罪者の監視役とは聞いてましたけど、、ちょっと心が折れそうです
廊下を歩きながら、眼をしっかりと凝らし、匂いすら逃さないように遺物狂いを監視する
「もう夕方だな。てか、お前ってどこで寝るの?」
「僕ですか?普通に客室で寝ますよ」
「そうか。明日5時に来いよ。牢屋に」
「5時?朝のですか?」
「そう。俺、朝5時起きだから」
遺物狂いはそう言った瞬間、窓から飛び降りた
「ア˝!!」
「早く降りて来いよ」
「ちょ!窓から飛び降りないで下さい!!」
追いかける為に、窓から飛び降り。膝を強打する
「グゥ!」
「ヒーロー着地は膝を痛めるぞ」
遺物狂いはドンドンと足を進め、一人の女性の元へと着いた
「瑠梨、体は大丈夫か?」
「大丈夫です!!久しぶりに悪夢を見ずに寝れたので!!」
「そうか。テンション高くないか?」
「久しぶりに眠くなくて!それが嬉しくて!嬉しくて!」
ハイになっている女性と遺物狂いが会話している
「落ち着け」
「ガァ!!」
遺物狂いが女性の頭を掴み、魔力を流し込んでいる
「ア˝ア˝ア˝ーーー!!!」
「・・・」
「ちょ!なにやってるの!!」
急いで遺物狂いを止めようとしたが、動けなかった
「俺の手元には?なんの?遺物が?あるでしょうか?」
「僕の遺物!!」
「気配を消している間に拝借させてもらったよ。後に返す」
一度までならず、二度も遺物を盗まれた
「あぅーー」
「瑠梨!!」
「ハ!私はなにを!」
「落ち着いたか?」
遺物狂いが呼びかけると、瑠梨と呼ばれる女性は正気に戻っていた
「じゃあ今日は違うことを教えるから」
「はい!」
瑠梨は力強く返事する
「ほれ。監視役。返しておくぞ」
「おっと!」
僕から盗んだ遺物を投げ返される
「次からは気を付けろよ」
遺物狂いは瑠梨と呼ばれる女性と訓練を始めた
圧倒的なる力の差を感じ、少しプライドが傷つけられた
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