第18話迷宮狂い、降参する

「・・・」


「表情的に、本気だな」


「誰だ!お前ら!どっか行け!!」


「学園長の娘さんが色々言ってますけど」


「無視しろ」


地面に着地した軍服を着た者達はゆっくりと、迷宮狂いを囲み始める




「隊長、、近づかなくてもいいのですか?」


「絶対に近づくな。相手が近づいてくるのを待て」


隙間なく、迷宮狂いを囲み、一定以上の距離を保ち続ける




「・・・」


「!!」


迷宮狂いが遺物をどこからともなく取り出し、全員が武器を強く握る




「沈黙せよ」


コーーーン!!


「・・・!!!」


「!!」


ベルを鳴らした瞬間、軍服着た者たちを含めた全員が一切言葉を発せなくなる




「指示はアイコンタクトでやらないと、言葉は、、光よりも遅いぞ」


迷宮狂いが話したと思うと、表情が無からニコニコ笑顔へと変わる


「!!」


迷宮狂いが動き出す




「!!」


動いた瞬間、隊長を除いた隊員達が一切に攻撃を開始する


「だから言っただろ。隊長は武器は強く握れと」


「!!」


迷宮狂いは一目散に一人の隊員の近くへと行き、攻撃してきた武器を奪い取る




そして杖による攻撃、剣により攻撃をしてきた隊員を華麗に回避していく


「フレンドリーファイアが怖いだろ」


迷宮狂いの逃げ方は非常に鬱陶しく。至近距離に隊員を絶対に置いておく逃げ方だ


「ほいほいほほーーーい!!」


間にいる隊員が邪魔で非常に攻撃がしにくく。杖を使った魔法攻撃は一切出来ていない




それに加え、近くにいる隊員の遺物は的確に盗んで行っている


「お、いいもん持ってんじゃん。身体強化系の遺物だ」


「!!」


「無理無理。君じゃ、俺を捕まえられないよ。しかもそれにプラスして遺物無くなったでしょ」


更に速くなった迷宮狂いは数十人いる隊員の遺物を華麗に盗みながら、逃げていく




「喋れないのは辛そうだね。可哀そうに、隊長の指示待ち人間だから俺に負けるんだよ」


「!!」


「しかし、Cランク以下の遺物はしまえないな。取り出せなくなる」


「遺物狂いーーー!!!」


「・・・マジ!?それはお前、おかしいぞ!!周り巻き込む気だろ!」


西華の声が聞こえたと同時に、葉がしっかりと生えている木が何本も飛んできた




「殺す!!そこで待っとけ!!」


「・・・こっわ!力強すぎるだろ!というかお前いつまで生きてるんだよ!!」


西華が血だらけになった時から、かれこれ1時間は経ちそうだ


常人なら既に出血多量で死亡しているはずだ


なのに元気に動いている




「全隊員!!迷宮狂いに近寄るな!!Cランクまでとは言え!まだ勝てない!!」


「ッチ、解けて来たか」


隊長の指示を聞き、全隊員が離れる




「・・・・これは無理そうだな。飼い主相手にしながら振り切るのは不可能だな」


「そうか。じゃあ死ね」


「!!」


急速に近づいてきた西華の拳が、迷宮狂いにクリーンヒットする




「顔はやめて!!お母さんたちにバレちゃう!!」


「ッチ、一切効いてない無いだろ。傷一つないじゃねぇか」


「いやいや、傷が付いてないのは遺物が勝手に発動してるからだ。いてて、鼻の骨折れただろ」


変な小芝居はガン無視し、もう一度殴る態勢に入った所で




「久しぶりだな。天満」


声がした瞬間、西華の拳が止められる


「!!」


「今一番会いたい奴が来たな。じゃ、ほら捕まえてくれ」


急に現れた人物に両手を差し出す迷宮狂いこと、龍桜天満




「西華ちゃんも落ち着いて、ゆっくり深呼吸」


「フゥーーーー、なんのようだ?兄さん」


「天満が暴れてたから止めに。拘束具が全部解除されてたら、僕以外に止めれないからね」


「・・・」


「あれ?天満、おーーい。ここで寝ないでくれる?」


「頭痛が痛い」


そう言い。迷宮狂いは目を閉じ、寝息を立て始めた




「しかし、西華ちゃんも大丈夫?めっちゃ血出てるけど」


「大丈夫だ。秘宝が一部分だけ起動したからな」


「あの秘宝が!?それは嬉しいね!今日は赤飯を炊こう!」


兄さんは迷宮狂いを担ぎながら、西華と話し続ける




「後でママに怒られるだろけど。頑張ってね。応援してるよ」


「じゃあな」


「じゃあねーー!」


手を振りながら、兄さんが離れていく




「次は兄さんごと殺す」


殺意に近い闘争心を剥き出しながら、歩き出す


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