第16話迷宮狂い、変わる

最近よく死にかけている


原因は分かっている。遺物が使えないからだ


だから遺物を使える様にする


それで死なずにすむ




「遺物狂い?」


「・・・」


ゴ!


背後からの不意打ちで西華を綺麗に気絶させる




「一段階まで解除されてて助かったな。さてと」


西華の体を漁り、鍵を探し出す


「毒の遺物は触れん。秘宝は場所が分からん。鍵は、、あった」


鍵を取り出し、首の拘束具に鍵を押し当てる




「リセット」


ガチャン!


拘束具が音を立てながら解除される


「E、Fは無制限に使えるようになった。そして」


鍵を使用し、もう一度拘束具に段階を設定する




「よし。これでCまで使えるな」


「グゥ!」


「・・・」


目覚めかけている西華に気づき、急いでその場から離れる




(鍵が足りない、、無理やりにでもSまで行かないと)


廊下を爆走する。Cまでの遺物を使えるおかげか。非常に動きやすい


全盛期の体に戻ってきている感覚だ




「学園長室はどこだ?」


「待て!!」


後ろから西華の声が聞こえた




「西華、学園長はどこにいる?」


「誰だお前!!遺物狂いじゃねぇな!!」


「・・・・」


西華の言葉を聞いた瞬間、遺物狂いの顔が黒い影で染まる




「あいつ、、乗っ取られたか」


「聞いたことだけを答えろ。学園長はどこにいる?」


「このごたごたしてる時期に!!お前の世話をしている暇は!」


ザク!


ナイフが西華の肩に刺さる




「グゥ!!」


「・・・」


「待て!!」


遺物狂いが走り始める。その手には西華の肩に刺さったナイフがある


「自動で戻る、、ナイフか。フゥーー、、待て遺物狂い!!!」


息を整え、遺物狂いを追う為に走り出す






その後は地獄だった


出会う人全てを切り裂き、怪我させていく遺物狂いに


何度も何百回も攻撃されながらも追いかけ続けた




「西華、お前はしぶといな」


街灯の上に器用に立ちながらこちらを見下してくる遺物狂い


「お前の攻撃が弱いだけだ、、フゥーー」


「・・・・俺の願いはただ一つだ。拘束具の解除、それだけだ」


西華が立っている場所に血だまりが出来る。明らかに出血多量だ




「死が近づいているな。西華よ」


「うるせぇ」


「解除のパスワードを教えてくれないか?そしたらお前を助けてやる」


「断る。どうやって2段階まで解除したかは知らんが、完全解除は絶対にしない」


「そうか。じゃあ、死ね」


ナイフが頭上を掠る




「がぁ!」


「・・・・遺物狂い?」


「やめろ!抵抗するな!主を救う為だろ!」


何かと会話している遺物狂い




「・・・」


遺物狂いの顔を覆う。影の色が赤へと変わる


「失礼。無事ですか?」


「それは私に言っているのか?」


「あなた以外にいないでしょう」


年寄みたいな口調の遺物狂いに多少困惑しながらも会話する




「お前らの本体を出せ」


「主は今寝ています。最近よく死にかけていますからね」


「叩き起こせ」


「出来ません」


「だったら暴れるのをやめろ。大人しく、静かに、黙って病室にいろ」


「出来ません」




「・・・」


「・・・」


両者とも睨み合い、一切引かない


その様子を発見した生徒達少しずつ、周りに集まってくる




「ギャラリーが増えてきましたね。そろそろ移動しなければ」


「移動させれると」


「煽る前に止めた方がいいですよ。では」


凄まじい速度で遺物狂いが移動を始める。西華が毒を使えないように生徒達が多い所を通っている




「待て!」


「あなた、身体強化系の遺物持っていないでしょう」


「あ?」


遺物狂いは空中で3度ジャンプし、4階の窓へと入って行った




「ッチ!」


一階の階段まで走ろうとしたその時






            心臓が大きく鼓動した


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る