第13話迷宮狂い、戦う

数十個の遺物を使うのは一応だが、可能だ


ただ、あり得ないのだ。考えてみて欲しい。込める魔力の量、形が違う物を数十個扱うことを


例えばだ。右手に鉛筆を持ち、左手で箸を持って


勉強しながらご飯を食べることは出来るけど非常に難しいだろう




それを数十個の物でやっている。はっきりいっておかしなことだ


というかあり得ない。いくら複数個のことを同時に熟せる人でも


遺物はまた別なのだ。といか通常のマルチタスクよりももっと複雑なのだ




知っての通り、遺物には使用回数、耐久値と言う物が存在する


耐久値を気にしながら、他の遺物に魔力を込めて、自身の魔力量が尽きない様に注意しながら


戦闘で相手にも意識を割きながら、手にしている遺物の効果も使用して




頭が4個合っても処理出来ない程の、逝かれた行為




「でりゃりゃりゃ!!」


「グゥ!」


黒き剣と白き剣の二刀を、巧みに扱い。黒ずくめの斧を弾き飛ばしたと思うと


「一刀、絶技」


「!!」


刀を納刀し、明らかに何かしますよと言う、言葉を発した瞬間




「嘘に決まってるだろ。馬鹿がよ」


「ナ!」


その言葉に少しだけガードが遅れた斧使い




「それも嘘」


一瞬の隙をついて、肩を斬りつける


「一瞬反応遅れたでしょ。遺物を複数使う人相手の言葉は信用したら駄目でしょ」


「・・・」


斧使いは静かに後ろへと飛び、距離を取る




「痛いでしょ。いまさっき研いだからね」


どこからともなく砥石を取り出し、器用に黒き剣を研ぐ


「血も止まらないでしょ。遺物で血をダバダバ流してるんだよ」


「・・・ご忠告、どうも」


「デバフ系の遺物は今使えないし、身体強化系も1個だけしか使えない」


ジャキンっと音が響く




「でもお前を殺すには、足りる様だな」


「!!」


斧使いの体が非常に大きくなる。そして明らかに怒っている雰囲気を感じる


「許さん!許さん!許さん!!」


「怒るな。餓鬼が」


遺物狂いはどこからか、鈴を取り出し、鈴を鳴らした




「怒りを納めろ。バーサーカーよ」


「ナ!ふざけるな!何故体が!」


非常に大きくなった斧使いの体が通常の、元の体へと戻っていく


「体を大きくする系の遺物ってな。感情の大きさによって大きくなるものが多いんだよね」


「・・・怒りを、、」




【猫のスズ】


鳴らすと怒りが収まる不思議な遺物だ!!


それ以外に効果は無い!ランクはF!




「こういう時、なんて言えばいいかな?チェックメイト?」


「・・・降参だ。この肩の傷じゃあ、斧を触れん」


「切り札も愛しき人に潰されましたしね」


ひょこっと出て来た祐が追撃の一言を発する




「・・・まだなんか残ってそうなんだが、、」


「第一、お前を殺しても、後ろにいる血毒姫には絶対に勝てん。傷が付いてる時点でゲームセットだ」


「・・・・」


「飼い主!その立ち姿カッコいいよ!!」


遺物狂いが私に向かって、手を振ってくる。非常に腹立たしい




「嘆かわしいことだ」


「ボ、ボス!」


「・・・・」


黒ずくめの、遺物狂いが持っている黒き剣の持ち主が一瞬にしてそこに現れた




「弱かった理由が今分かったよ。お前、瞬間移動する系の遺物にリソース割かれてるな」


「ご名答だな。お前が持っている剣が唯一武器だったんだがな」


「あげないよ。これは俺の」


遺物狂いは黒き剣をぎゅっと握りしめる




「驚きだったよ。俺の剣を俺以外が使えるのは」


「所有者なのか?こいつの」


「・・・遺物の仕組みを良く知ってるな」


「迷宮狂いなんで」


意味深な会話をしている遺物狂いに近づき、肩を掴む




「退け」


「飼い主!?いつの間に!」


「さっきの勝負をやり直そうか」


「・・・」


黒ずくめの男の視線には遺物狂いがいる




「眼中にないってことかな?」


「・・・」


「殺す。遺物狂い、離れとけ。お前事殺すぞ」


「もう離れてるよーー!!」


遠くの方から遺物狂いの声が聞こえる。離し始める前に逃げていた様子だ




「お前は確か、秘宝は使えないはずだろう。だったら俺の敵では」


「そこにいて大丈夫か?」


「!!」


ボスと呼ばれる黒ずくめの男は一瞬にして、後ろへと飛ぶ




「俺から離れておけ」


「は、はい!」


「部下思いだな」


「・・・」


血毒姫の周りの草木が毒に侵され、溶け始める




「お前は言ってたよな。風は溶かせないと」


「・・・」


「次は溶かしてやるよ。来いよ」


「これは、、相当逃げにくいな」

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