第4話迷宮狂い、復活する

《早く目覚めろ。俺達の主だろ》


《そうだ目覚めろ!そして夢を叶えろ!》


知らない声が聞こえる。天使の声かと思うほどに脳が溶けそうになる声だ




《ダメだこの主!!》


《この遺物狂いの怪物が!!早く起きろ!》


ああ、、ダメだ。声が好きすぎる。もうちょっと聞きたい




《早く起きろ!!死んじゃうよ!》


《拘束具外れたら僕たちとずっと会話できるよぉーー》


早く起きないと!!!




「ゴッホ!!ガハ!遺物の声が聞こえたぞ!!」


「ギャアアア!!」


目覚めてすぐに瞳に映ったのは、体に見合わぬ大きな杖を持った少女だった




「オッエ!死にかけてるな!そこの少女杖をお借りするぞ」


「ア!」


「ふむ、、拘束具のせいで遺物の効果が内部に効きにくいみたいだな」


「あ、あのあの」


「学園長を呼んで来い!!」


「は、はいぃ!!!」


少女は怯えながら急いで扉から出ていく




「、、血は増えているが、毒が一切消えないな。ゴッホ!ゴッホ!血が口から飛び散るわ」


「だ、大丈夫ですか!?学園長を呼んできましたよ」


「これはなんですか!?」


「拘束具を一時的に解除しろ。遺物弾いて回復出来てない」


「ナ!」




学園長、多分この拘束具使うのは初めてだな。てか俺も初めて見るかも知れんな


俺の為に開発してくれたのかな?


「ゴッホ!ゴッホ!!あかん変なこと考えてるよりも死なないことを優先しないと」


「ロック解除!!」


「お、治癒しよ」


これ一段階までしか解除されてないな、、でも一応効いてるな




「・・・・」


「・・・・」


学園長から杖を抜けられながらも、杖の遺物で治療を続ける


(毒で死んでた臓器は回復出来た、、でも肝心の毒が一生消えないな。このままじゃイタチごっこだな)


杖の強度の限界が近づいてくる




「西華を呼べ!!この杖じゃ毒消えん!」


「走れ!!」


「はいぃ!!!」


変わらず学園長は迷宮狂いに対して杖を向け続ける




「お前の娘さんは色々と凄いね!!てかなんの遺物だ?」


「あなたには教えませんよ」


「教えてくれたら対策とか、毒を消す方法が分かるかも知れないよ!?」


「・・・それでも教えることは無い」


ギロリと眼光が強くなる。少し体が震える




「毒で震えてるのか!学園長の眼光で震えてるのか分かんねぇな!!」


「つ、連れてきました!」


「死にかけてるんじゃん!!!なんで早く呼ばなかったんだ!!」


「別の意味で言ってないか?ゴッホ!ああ、血が少なくなってきた」


興奮した様子の西華は、迷宮狂いの体に触れ、腕に噛みついた




「・・・毒吸ってるのか?」


「チューーチューー」


指でグットマークを作る西華臥竜、原因なのに威張っている


「治癒する杖、、まだ頑張ってくれよ」


杖に力を込め、体を治し始める




「え!私以外使えないのに!!」


「安心しろ。無理矢理使ってるだけだ。所有者は君だから安心しろ」


「人の遺物を勝手に使っていたのですか!?」


「静かにしてくれ。遺物が結構ギリギリなんだ。集中させろ」


意識を体に集中させる。毒だけを腕へと流し、血液を増やし続ける




「あ、毒無くなって来たな。免疫も出来て来たかも」


「美味」


西華は一言そう言うと、また血を啜り始めた


「やめろ!痛いんだよ!!」


頭を掴み、引き剥がそうとするが




「力じゃ絶対勝てますよ。なんたって始祖ですから!」


「ゴッホ!!ゴッホ!、、ああ。体を酷使しすぎたな、、体力切れだ」


頭痛が頭を襲い、体は軋み初め、血が足りなく貧血となる


(血を生成しすぎたな、、それでも足りてないが)


意識が暗闇へと沈んでいく。そして眠りに付く






「・・・牢屋だな」


目を覚ました迷宮狂いは自身の部屋に戻って来たのを確認する


「誰かーーー!!」


「お、起きたか。遺物狂いよ」


扉を開け、西華が牢屋の前まで来る


「飼い主か、、西華って呼んだ方が?」


「飼い主でいいぞ。その方が気分がいい」


西華は腕を伸ばし、迷宮狂いの腕を掴み、引っ張る




「飼い主として、ペットの世話は大事だからな。ごはん食べるぞ!!」


「ちょっと待ってくれ。さきに服を着替えたい」


「スンスン、汗の匂いはしないぞ」


「血がべったり付いてる」


「・・・・他の生徒が怯えそうだな」






数分後、制服に着替えた迷宮狂いは学園内を歩いていた


「もう夕方か、夜寝れるかな?」


「一緒に寝てやろうか?」


「毒に侵されそうなんで嫌です。しかし、この学園は綺麗ですね。傷一つ無い」


「そこは最近壊されたから、作り直しただけだ」


「なんだ。新品なだけか」


そんな感じで学園内の説明を西華から受ける




「ここは図書館だ。色んな本がある」


「借りれます?」


「遺物狂いは借りれん。犯罪者だからな」


「前科持ちに厳しいね」


「お前は前科持ちじゃないくて、現犯罪者だろ」




「ここが教室だ。私とお前のな」


「1年3組?小学校みたいですね」


「システム自体はほぼ小学校だからな。普通の大学とは結構違うぞ」


「ほえーー」




「ここが運動場だ。基本的には誰でも使える」


「俺でも使えるのか?」


「使えるぞ。ただし、遺物などの使用は許可を取らないと使用できない」


「当たり前ですな」




「で、ここが食堂だ。お前の飯は基本的にはここ」


「へい!おばちゃん!カレーライス貰えるかい!」


「はいよ!少し待ってな!」


「勝手に注文するな。金払うのは私なんだぞ」


「まあまあ、飼い主の務めって奴ですよ」


西華に胸倉を掴まれ、持ち上げられる。身長差もあり、少しだけ体が浮く




「西華!!その男は誰ですか!!私と言う者がいながら!」


「・・・面倒そうな子ですな」


「・・面倒だ」


金髪ツインテールの女の子が、目の前に現れた


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