第3話迷宮狂い、死にかける

「起きろ!!」


ガンガンガンガン!!


部屋中に金属音が響き、驚きながらも迷宮狂いは目を覚ます




「・・・なんだね」


「おはよう。遺物狂い」


「おはよう飼い主」


綺麗な銀髪が目立つ飼い主、西華臥竜が起こしに来ていた




「今日の予定を説明してやる」


「ちょいとお待ちを。あれ?ここ水も無いのか?」


「なんだ?水が欲しいのか?」


「朝は顔洗わないと目が覚めにくくてね。てかまだ5時やん。早めだな」


この部屋、トイレ以外に水無いなっと迷宮狂いは思った




「私の部屋に来るか?私が言うのもなん」


「お断りします。純潔な女性の部屋に入るのは男としてダメなので」


「・・・・聞いてた話と違うな」


(明らかに罠やんけ。怪しすぎるわ)


顔を洗うことを諦め、西華に今日の予定を聞く




「授業始まるまでに学園内を案内するだけだ」


「売店とかってあります?本屋でも可」


「ネット通販なら可能だ。金は持ってるだろう」


「無いですね。てか通帳すら持ってません」


「・・・・・学園長から聞いてた話と違い過ぎるな」


西華は首を傾げならが、指を唇に当て、考え始めた




「飼い主よ。安い物なら奢ってくれないか?恵んでくれ」


「・・・数百円程度なら許そう」


「じゃあ出ますか。あれ?遺物が出ないな」


いつもの感覚で遺物を出そうとしたが、一切出てこない




「首輪があるだろ。拘束具が」


「あっれーーー!?牢屋にいた時は出せたのに!ッハ!あのババアか!!」


思い返せば理解できる。あれは外枠を捨てて、内部を強化したのか!


俺の遺物が体の中にあるのを予見して!!




「いい表情だな、、」


「よだれ垂らすな。女、はぁ。いつでも脱出できると思ってたのに」


ああぁーー計画が全部狂った、、こっそり拘束具外して、学園中の遺物を貰おうと思ったのに


てか薄々感じてたけど、西華ってドSって奴だな。よだれ垂らしてこっち見てるわ




「おい、遺物狂い。これはなんだと思う?」


「!!」


迷宮狂いは視界に映ったそれを見て、飛び起きる


「笑う鍵!」


「そうだ!笑う鍵だ!」




「・・・解除してくれ」


「駄目」


「いいじゃないですかぁ!美人なお姉さん!!」


「美人は言われ慣れている。言葉のバリエーションを増やすんだな」


これ解除してくれない奴だな、、とりあえず。殴るか




「もう諦めた。出してくれ、学園を見回ろう」


(出して後ろ取った時に不意打ち食らわせて奪うか。それなら簡単だろ)


「却下」


「はぁ!?」


西華から帰ってきて言葉は却下、つまりは駄目ということだ




「?」


迷宮狂いは首を傾げ、何を言ってるんだと言う表情になる


「私は人の嘘、感情が分かるんだよ」


「俺の悪意でも見えたか?」


「ああ、見えた。私の背後を取って不意打ちしようとする。悪意がな」


西華の瞳が黒色から赤色へと変色する




「ヴァンパイア瞳じゃん!珍しい!遺物ランク自体はBだけど!希少性だけを見たらAはあるぞ!」


「・・」


西華が少しだけ後ろへと下がった。理由は分からない。怯えたのかな?




《ヴァンパイア瞳》 (ヴァンパイアあいと読む)


効果はヴァンパイアぽい能力ではない。見た目だけだ!!


まず一つ目の能力!これは今見た通りだ!人の感情が色分けされて見える!!


2つ目!動体視力が非常によくなる!ただそれだけ!効果はこれで終わり!!




「・・・調子が狂うな、、もっと泣き叫んでもいいのだぞ」


「泣き叫ぶ理由がない。てかはよ出せよ。もう30分ぐらい経ってるぞ」


「なに!?」


「嘘に決まってんだろ。時計見ろよ」


西華から距離を取る。殴られたら痛いからね!!




「・・・ペットの教育はちゃんとしないとな」


「!!」


迷宮狂いの鼻に刺激される。毒の匂いだと迷宮狂いは確信する




ここで毒!?遺物だなこれは!しかも結構強力な毒だ!


あ、これ吸ったら死ぬ系だ!!少し吸っただけで喉にクル!!


「・・・」


「どうした?さっきみたいな煽ってみろよ」


「・・・」


喋るわけないだろ。馬鹿かよ




迷宮狂いは中指を西華に対して立てる。それを見た西華は


「殺すぞ。クソ餓鬼が」


「・・・」


バチバチに怒っていた。それと同時に毒素が強くなり、視界にも毒が捉えられるようになる




(ああーーーベットが浸食された!一個しか無いベットなのに!)


「・・・」


「私よりも上にいる奴は嫌いなんだよ。全員私にひれ伏して靴を舐めろよ」


「毒と一緒に毒舌も出てまっせ。おつむの毒も」


「ア˝?」


勝ちを確信した様子の迷宮狂いは話し始める




「後ろをご覧ください」


「・・・が、学園長」


「扉から緑色の霧が発生してると思って来てみたんですよ」


ガタガタと体が震える




「そしてたら、馬鹿娘が毒を出してる所を発見しましてね」


「・・・」


「ゴッホ!!ゴッホゴホ!!」


迷宮狂いが血反吐を吐く。床に血がべったりと付着する




「不味い!!急いで毒を止めないさい!!」


「は、はい!」


「ハハハ、、死神がーー近づいてくるなぁーー」


俺の意識はそこで途絶えた。まだ死にたく無いな

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