第46話 スタア
「よーし!問題は1つ解決したからー……っとなるとあとはパーティメンバーの募集ね!6,7人にはしたいよね」
「ふむ。やはり傭兵酒場か?」
「うん。そのつもり、ってかそこしかないしね。なんで?」
「恐らく私が居ることで勧誘に支障をきたすだろうと思ってな……」
ベアトリーチェは済まなそうな顔で答えた。
「そうね……」
普段はストレートな物言いのリセチだが、さすがに言い淀んだ。
「でもまぁ、やってみないと分からないし、まずはやってみましょ!」
―
――
―――
「今日もダメだったか」
傭兵酒場から出たアルは、夜空を見上げながら呟いた。
宿屋での作戦会議から5日。アル率いる『黎明の旅団』に新メンバーは増えていなかった。
暇さえあれば戦歴紙を吟味し、交渉を試みるも1つとしてまとまらなかった。
懸念していたベアトリーチェの存在が足を引っ張ったこともあったが、初心者パーティかつ年齢層の若さという点でも、多くの傭兵が『黎明の旅団』入りに難色を示した。
「困ったなぁ……」
「すまない。私のせいで」
「別にベアちゃんのせいじゃないよ。元々アルとも話してたんだ。アタシ達みたいな弱小パーティに入ってくれる傭兵は少ないだろうってね」
「うん。そうだよ。ベアさんのせいじゃないよ。覚悟はしてたことなんだ」
3人の会話が途切れたところで、後ろから声がかけられた。
「ねぇ!そこの金髪の君!……君だよ!金髪でローブの!」
『金髪でローブ』まで言われて気になったリセチが振り返ると、にこやかにほほ笑む爽やかな青年と、それを取り巻く3人の巨漢の男が居た。
「えっと……アタシのこと?」
「そう!君だよ!ようやく追いつけた。傭兵酒場で君を見かけて、慌てて追いかけたんだ!」
「それで、何か用なの?」
爽やかな青年は微笑みながらリセチに近づく。
「まずはご挨拶を。初めまして、ボクはCランクパーティ『神聖なる
「……アタシはリセチ。サポーターだけど……」
リセチは警戒心を強めた表情で答えた。
「サポーター!?本当かい!?なんという奇遇、いや運命だな!実はボクたちサポーターを探していてね。君の出で立ちを見てピンと来た!『この娘は絶対サポーターだ!』ってね。この国ではサポーター職は貴重だろ?なかなか見つからなくて困っていたんだ」
「困ってたんだ、って言われてもね……。見ての通り、アタシはこの2人とパーティを組んでんの。サポーターを探したいなら他を当たって」
そんなことも分からないのか、と言わんばかりの態度で冷たく払い除けたリセチだったが、スタアは食い下がる。
「あぁ、事情は傭兵酒場でチラっと聞かせてもらった。初心者パーティが故に、傭兵集めに苦労してるらしいじゃないか。そこでどうだい?僕達と合同パーティを組んでみないかい?」
「合同パーティ?」
リセチは聞き慣れない言葉に戸惑い、アルとベアトリーチェを交互に見た。
すると少し険しい顔をしながらベアトリーチェが見解を述べた。
「ふむ。合同パーティとは一部の重要任務などで採用されている作戦だったはず。私も噂程度でしか聞いたことがないがな……しかし、合同パーティのような即席チームは息を合わせるのが難しいから、初心者にはあまりオススメされては――」
「――そんな難しいことを考えなくても平気さ!僕のパーティはかなり強いからね!フォロー体制は任せてよ!僕のパーティで、正式なサポーターが見つかるまで、ウチに居てくれると助かるんだ。もし気に入ったらずっと居てくれても構わないしね!」
ベアトリーチェの言葉を遮って、スタアが前向きな情報を喋りだした。
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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『スタア……何やら怪しい奴!』
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