第43話 補助魔法
「私の話ばかりではつまらんだろう。良ければ君たちの話も聞かせて欲しい。互いを知ることは良き連携を生むからな」
ベアトリーチェは微笑みながら促した。
「じゃあ、僕から話します」
アルは横に座るリセチに向かって一度頷くと、話し始めた。
「僕は冒険者になりたての新人冒険者です。攻撃メインの魔法型です。リセチとは最近知り合ってパーティを組みました。僕には大きな目標があって、それに向かって一歩目を踏み出したところです。戦闘訓練は最近始めたばかりで弱いですが、INTには自信があります。よろしくお願いします」
「ふむ。この国で魔法型とは珍しいな。それにINTには自信があるということだから、期待させてもらおう。よろしく頼む」
ベアトリーチェが優しい口調でアルに伝えながら小さな会釈をした。
「じゃぁアタシも簡単に。アタシは元居たパーティでヒーラーをしてたんだけど、つい最近、食人巨蟲に壊滅させられちゃって。そんな時にアルと知り合って、新たなパーティを結成したの。元々所属していたパーティはBランクだったから、それなりに動けると自負してる。よろしくね!」
「そうか、食人巨蟲に……。それは残念だったな……。しかし、Bランクパーティに入っていたとは驚きだ。君のように有能な冒険者にはたくさん教わることがあるだろう。よろしく頼む」
ベアトリーチェの言葉に、リセチはニコッと微笑みながらゆっくりと頷く。
「そうだ、君たちのステータスカードを見せてもらってもいいだろうか?」
ベアトリーチェにステータスカードを見せてと言われ、アルはリセチの顔をチラリと見た。
「じゃあアタシから見せるね」
リセチはアルに視線を合わせず、自然な流れでステータスカードを差し出した。
「ありがとう。ふむ、魔法型で……防御の方が高いところを見ると、サポーターといったところか?」
「せいかーい!サポーターと言っても完全回復型なんだよね。補助魔法はなし。ベアトリーチェさんはどのレベルで補助魔法を使えるの?」
リセチとベアトリーチェは自然と情報交換に入っていく。
「私の補助魔法は中級まで。VITとAGIを向上させる補助魔法を2つだ」
「わぁ!中級を2つ!?すごーい!助かるぅー!」
リセチは笑顔で拍手をしながらベアトリーチェを褒めた。
「そんなに凄いの?」
大きなリアクションを取るリセチが気になったアルが会話に割り込む。
「うん!凄い!攻撃魔法と違って補助魔法のランクは5つしかないの。『下級』『中級』『上級』『伝説級』『神話級』の5つ。だからランクが一つ違うだけで習得難易度が格段に違ってくるんだー。補助の中級は攻撃の中級とは訳が違うの!」
「へぇー。ん?でもさ、魔法って呪紋屋で刻めば使えるんじゃないの?」
アルは呪紋屋のバーバを思い出しながら聞いた。
「確かにその通りだんだけど、そもそも刻んだからってすぐ使えるわけじゃないの。体との相性があったり、練習を重ねないといけなかったり……習得するまでには努力や才能が必要なんだー」
「なるほど、結構奥が深いね」
「ついでだから教えとくと、刻めるのは上級までなの。それ以降、超級以上は自分で創造しないといけないんだー。前に『アタシは超級までは見たことがある』って言ったじゃない?その人に聞いてみたら、雷属性の上級魔法と火属性の中級魔法を幾つか合わせて創りだしたんだって」
「へぇ。自分で創る……か。いつかできたらいいなぁ」
「アル、君は……魔法型の割に、その……あまり魔法に詳しくないのだな」
アルが真剣な表情で頷いていると、ベアトリーチェは不思議そうな顔で尋ねた。
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
読んでいて
『前衛で補助魔法が使えるのは珍しくて良いな!』
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